70 / 144

第三章・7

 そして。  とっぷりと日は暮れたが、グラウンドの焚火の明かりで夜通し騒ぐ大人たちの歓声が響いている。  その声を小さく聞きながら、凱は寮の階段を登った。  その声すら届かなくなった怜也の部屋に、そっと入っていった。  部屋は明かりもなく、暗い。  夜目に頼って寝室のドアを開くと、怜也は寝具を頭からすっぽり被って横になっていた。 「よう」 「……」 「怒ってる?」 「……」  返事がない。  ぎしり、とベッドに腰掛けると、凱は怜也の体に腕を伸ばした。

ともだちにシェアしよう!