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第三章・8

「こちょこちょこちょこちょ!」 「きゃあああぁ! ちょ、やだ! きゃはははは!」  やっと返事した、と笑う凱の顔に、怜也は枕をぐいと押し付けた。 「馬鹿ばか! 知らないよ!」 「枕とキスなんて、あんまりだぜ~」 「凱の馬鹿! みんなの前で……あんな……」 「じゃあ、天知とならよかった? ん?」 「それもイヤだ!」 「天知と俺、どっちがいい?」 「……」  また黙ってしまった怜也に、凱はそろそろと顔を近づけていった。  ちゅ、と音を立ててキスをする。  顔を離し、額同士を押し付け合い、互いの頬に手を寄せた。  ちゅっ、ちゅく、くちゅん、と音を立てて凱がキスをする。  怜也は、それに応える。

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