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第三章・10

 愛されるだけでなく、愛すること。  そう、僕も凱を愛している。  劇の練習中、天知くんに抱き上げられることはあんなにイヤだったのに、どうして凱にこうして触れられることはただ気持ちいいのだろう。  それは、彼を愛しているから。  ほかの誰より、凱のことを愛しているから。 「凱」 「ぅん?」 「好き。凱、大好き」 「……怜也ッ」  もうこのまま突っ込んでしまいたい、と込み上げてくる思いを必死で抑え、凱はポケットに忍ばせておいたものを取り出した。  せわしなく片手で蓋を開け、チューブを押して出てきたジェルを、そっと怜也の後膣に少しだけ塗った。 「ローション、冷たくないか? 平気か?」 「ん、大丈夫」 「気持ち悪くなったら、言えよ?」

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