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第三章・15

 一部問題はあったが、今年の収穫祭も無事盛況のうちに幕を閉じた。  一日の代休を挟み、怜也と並んで教室へ向かう凱は内心にやにやしていた。  何といっても、公然と怜也にキスすることに成功したのだ。  二人の仲は、周知の事実で認められるに違いない。  意気揚々と教室に入った凱だったが、誰が何を言うこともなくただ淡々と日常が繰り広げられる。  焦れた凱は、匠の肩に腕を回し、その首をぐいと引き寄せ耳打ちした。 「おい、これはどういうことだよ!?」 「これ、って?」 「俺と怜也の事だよ! 一体どうして、皆でシカトしやがる!?」 「あぁ、その事なんだけど……」

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