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第一章・2
ちょっぴり。
ほんのちょっとだけ刺激が欲しいところだが。
「なぁ」
「ん?」
顔をこちらに向ける怜也の唇に、すばやくキスを……と思ったが、熱い口づけを交わしたのは残念ながら固い本の表紙だった。
凱と自分の顔の間に本の壁を作り、見事悪巧みを防いだ怜也は屈託なく笑っている。
「んだよ。キスくらい、いいじゃん。堅いなぁ、もぅ」
こんないつものやり取りも、もうお約束のようなものだ。
「外でなんて、ヤだ」
その声には恥じらいと、わずかな緊張がある。
このまま青姦プレイに持ち込むとでも思われてるんだろうか、俺は。
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