88 / 144
第一章・8
凱はご機嫌に笑った。
憧れ、なんて言われて悪い気はしない。
腕を絡ませ、体を擦り付けてくる仕草に、結構イケイケの乗りのいいタイプと見た。
これなら、いざこれから、という時に、やっぱりやめる、なんて泣き出すような事はないだろう。
「いいぜ。何なら、今からすっか?」
「マジ!? 嬉し~♪」
ふと、怜也の顔が胸に浮かんだ。
寂しそうな眼で、こちらを見ている。
(いや、浮気じゃねえよ。一回きりだ。浮気のうちに入らねえ)
まずは汗を流したかったので、そのまま少女を伴って男子寮へと連れ込んだ。
シャワーを浴び、まだ日の沈まない明るい室内で、二人もつれあった。
ともだちにシェアしよう!