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第一章・13
突然の怜也の訪問に、凱は仰天した。
「おいおい。夜に男の部屋に来るって、どういうことか解かってんの?」
「僕だって、男だけど?」
「まぁ、そうか」
とにかく入れ、と部屋に入れてもらうとかすかにアルコールの香りがした。
グラスと瓶が、テーブルに置いてある。
また飲んでいたのだ、凱は。
「また未成年が飲酒を」
「はいはい、もうやめますよ」
「……ちょうだい」
「へ?」
「僕にも、ちょうだい。飲みたい。お酒」
そう、僕はもっと不良になるんだ。
凱に釣り合うくらい、大人びた不良に。
お酒くらい、一緒に飲めるようになってみせる。
「やめとけよ。どうしたんだよ、突然」
「いいからちょうだい」
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