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第一章・15
「や、お前なんか変だぞ」
「ダメ? 嫌?」
「嫌じゃねえさ……」
僕、もうシャワーも浴びてきたから、と言う怜也。
こいつはもう、食べてくださいと自分から野獣の檻に入ってきやがったのか。
「じゃあ、俺もシャワー浴びてくっから」
「うん」
怜也の気が変わる前に、そのまま押し倒してしまいたかったが、さっきの女の香りが体に残っていたらヤバい。
とにかくシャワーだ。急ぐんだ。
ばたばたと浴室に消える凱を見送った後、怜也はグラスの残りを干してしまうと、ふらりと立ち上がった。
とうとう、誘っちゃった。
自分から。
でも、凱は嬉しそうだった。
あんなに喜んでくれるなら、もっと早くにこうすればよかった。
それに、自分から誘ったという余裕が心にあるので、リラックスできているような気分だ。
きっと巧くいく。
今夜こそ、彼を満足させてあげられる。
そんな事を考えながら、寝室へ入った。
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