96 / 144
第一章・16
しかしベッドに腰掛け脚をぶらぶらさせていると、猛烈に酔いが回ってきた。
「やだ。ちょっとだけ横に……」
枕に顔を埋めると、凱の匂いがした。
それだけで、体が火照ってくる。
酔いも手伝い、心臓がばくばくと飛び出しそうに打っている。
「ふふ。早く来ないかな」
枕を腕に抱え、甘えるように頬ずりした。
大好きな凱。
今夜、僕は彼と……。
ちくり、と首筋に何かが当たった。
「ん?」
枕のあった場所に、何か光っている小さなもの。
手に取ってみると、それはピアスだった。
イミテーションだろうが、光る石の付いた可愛らしいデザイン。
どう見ても、女の子が身に着けるようなピアス。
酔いが、一気に醒めた。
ここに、女の子が寝たのだ。
凱と一緒に。
ともだちにシェアしよう!