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第二章 そのままの君が好き

 怜也の様子がおかしい。  そりゃあ、自分から誘いました、  でも酔って寝てしまいました、ではバツも悪かろう。    だが、そんな雰囲気とは違う見えない壁のようなものが、凱と怜也の間にできている。  話しかけても返事が小さい、眼を合わせようとしない、あげくに避けるように席を立つ。  さすがに何かあったかと心配になってきた時に、くだんの少女がやって来た。 「昨日はありがと♪」 「何だよ、またヤりたいってか?」 「いいの!?」 「バーカ」  怜也のことが心配なのだ。  今は、女と寝る気なんかしない。 「いやね、もしかしてアタシ、ピアス落としてなかったかな、って」 「ピアス?」 「うん。昨日ヤッた後気づいたら、片方ないんだ~。部屋に落としてなかった?」  まさか。  後で探してみる、とその場はやり過ごした。

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