99 / 144
第二章・2
のんびり構えていると見せかけて、少女が去ってしまうと慌てて駆け出した。
授業なんぞ放ったらかして男子寮へ戻り、ベッド周りをくまなく探した。
枕をぱっと、どけて見てみると。
「あった……」
光る小さなピアス。
一見して女物と解かるそれは、これは俺のピアスです、とはどうあがいても言い訳できない。
「きっと昨夜、怜也はこいつを見つけちまったんだ。そんで、結局抱かせてくれなかった」
そう考えれば、今日のどこかよそよそしい態度も合点がいく。
大失敗だ。
忌々しいピアスをポケットに入れると、ぱん、と両手で頬を叩いた。
とにかく、ぐずぐずはしていられない。
戻ってきたと同じくらいの勢いで、今度は学校へ向かった。
ともだちにシェアしよう!