100 / 144
第二章・3
植物園、温室、図書館と、怜也の居そうなところを片っ端から探し回った。
結局見つけたのは、昨日と同じ胡桃の木の下。
怜也は昨日と同じように本を読んでいたが、その心の中は大きく変わっていた。
そっと隣に座る。
人の気配を感じた怜也が、ちらとこちらを見るが、それが凱だと解かると顔をこわばらせて下を向いてしまった。
まいったな……。
昨日はここでこうして二人並んでいるだけで、満たされた気分に浸ることができたのに。
沈黙が流れる。
いや、必死で怜也を探して回ったのは、黙ってしまうためじゃない。
ちゃんと話すつもりなんだ。
ちゃんと話そうと思ってたんだ。
でも、言葉が出ないのはなぜなんだ?
ともだちにシェアしよう!