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第三章・4

 ゆっくりと、怜也の上に被さっていった。  両腕で抱きしめ、髪に顔を埋め、強く頬ずりした。  その間中まだ射精は続いており、怜也は悦楽の波に体を跳ね上げもがいていたが、最後の一滴まで吐き出してしまうとぐったりと身を任せてきた。 「んぅ……」  はッ、はッ、と小さく速く吐かれる息が耳にかかりくすぐったい。  そのせいもあって、凱は怜也と向き合った。 「最高。やっぱ、お前とが一番感じる」 「……」  なんて返事していいか解からない。  嬉しい? ありがとう?   それとも、他の人と比べないで?  全部の言葉を言う代わりに、キスをした。  凱の唇に、自分からキスをした。 「んぉッ!?」  凱、何てムードのない声。  目を円くして、驚いてる。  あぁ、初めて僕の方からキスをした。  すっかり悪い子になってしまった、僕。 「全部、凱のせいだからね」 「へ?」  後は、静かに抱き合った。  体の、心の熱が元に戻るまで、慈しみあった。

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