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第一章・3
ビールだと真面目な恋人がまた叱ってくるので、凱はよく冷えたビアンカを2本持って怜也の部屋へ行った。
持久走お疲れ様、と二人で乾杯だ。
ソフトドリンクだが、怜也と一緒に飲むことに意義があるのだ。
にこりとひとつ笑った後、凱は怜也宅のドアを叩いた。
返事がない。
ドアに鍵はかかっていなかったので、そのまま室内に入った。
ぐるりと見渡してみると、ソファに脱いだ衣服が掛けてある。
そっとバスルームに近づくと、水音がした。
入浴中のようだ。
凱は、今度はにやりと笑うと、自分も服を脱ぎだした。
素裸になってしまうと、当たり前のように浴室のドアを開ける。
「は! ……凱!?」
「いや~、今日は暑かったな」
浴槽に水を張って中でくつろいでいた怜也の顔は、見る間に赤くなった。
まだ明るい日の差し込んでくる浴室で、凱の体を見ることが恥ずかしいらしく、うつむいて黙ってしまう。
でも、出て行けとは言わない。
そんな怜也を可愛く思いながら、凱はシャワーで汗を流すと自分も浴槽の中へ入っていった。
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