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第一章・5

「気持ち、い」 「うん」  静かに、ゆっくり時間が通り過ぎてゆく。 「怜也」 「ん?」 「俺の事、好き?」 「大好き」 「そう」  少し、その体を抱く腕に力を込めた。  ふ、と息の漏れる気配。  ゆっくりと、怜也が首を傾けてきた。  その目尻に、そっと口づけた。  そうすると、怜也はまた安心したようにゆったりと体を預けてきた。  二人そうやって、水の中で過ごした。  羊水の中で憩う双子のように、互いに寄り添いあった。

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