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第一章・6
暑い夏の日差しが、さらに暑く感じられる。
海から照り返される太陽の光は、肌を刺すように痛い。
船は行ってしまった。無人島に置き去りだ。
もう、どこへも逃げられない。
「よし! では各班に分かれて、まずはテント設営だ!」
どうしてそんなに元気なのやら。
教師の大きな掛け声に、凱はやれやれとため息をついた。
野営実習。
夏に必ず行われる、恒例の屋外実習だ。
普通に言えばキャンプだが、この城北高校の野営実習はそんな楽しげなものではない。
頼りになるのは、わずかに限られた物資と己の力のみ。
まさに、極限で生き延びるためのサバイバル訓練なのだ。
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