124 / 144

第一章・7

 それでも、生徒たちは楽しそうだ。  非日常に放り込まれることを、刺激的に受け止めワクワクしている。  だがしかし。 「食事は各班で準備。魚が獲れなかったら、それまでだぞ!」  こんな酷い言葉を、教師は平気で吐いてくる。  銛を持って水中に入るのは凱の役目で、あの傲慢な天知はと言えば……。 「一ノ瀬くん。君、こんな毒々しい色の魚が食べられると思っているのかい? この魚の肝臓にはパリドキシンという猛毒が含まれていてだな」 「ガタガタ言うな! 肝以外なら食えるんだよ!」 「では、君が責任を持って調理してくれよ? 死んだら化けて出てやるからな?」  万事がこんな調子。  頭でっかちでぶぅぶぅ文句は垂れてくるくせに、一向に動こうとしないのだ。

ともだちにシェアしよう!