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第一章・15
胸躍らせながら、凱は鋭い蹴りを怜也に向けた。
紙一重でよけられる。
振り降ろそうとした足首を掴まれ、捻られる。
足を痛めては事なので、捻るにまかせて体を流した。
腹這いの姿勢になってしまったところで、両足を跳ね上げ被さってこようとした怜也を牽制する。
だが、ぽん、と軽々かわされ反動で起き上がろうとした凱の両腕が、背中に捻じあげられた。
「痛ッ!」
「油断したね」
あぁ、俺の負けだ。
また一段と腕を上げている怜也。
こいつはどんどん強くなる。
俺の背中を追いかけていたはずが、いつの間にやら俺を追い越し強くなろうとしている。
一瞬の間の出来事だったが、熱くなった。
ふぅ、と大きく息をつき、土を掴んで立ち上がった。
互いに握手をし、微笑みあった。
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