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第二章・3
きれいだ、と独り言をつぶやくように怜也が口にした。
ビルや住宅など対象物が周りにない分、丸い月は小さく見えたが、それでも煌々と輝き海に光の道筋を創っている。
静かな波の音が遠くに聞こえるだけ。
静寂の中、凱はそっと怜也を抱き寄せようとした。
するり、と逃げてしまう。
「おいおい」
「ふふっ」
いたずらっぽく笑った怜也の次の行動に、凱は眼を丸くして息を呑んだ。
さらさらと、衣服をすべて脱いでしまう怜也。
白い肌が月に輝き、幻想的なくらい美しい。
さくさくと砂を蹴って、海へと駆けていってしまう。
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