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第二章・4

 そういうことなら、と凱も急いで服を脱ぎ、後を追った。  冷たい海に脚を入れ、ちゃぷちゃぷと遊んでいる怜也に追いすがろうとすると、またするりと逃げてしまう。  ちゃぷちゃぷと、次第にじゃばじゃばと音を立てて、波間の追いかけっこが始まった。  水が蹴られるたびに夜光虫がきらきらと輝き、素裸の二人を飾る。 「おい、待てよ」 「ふふ、ここまでおいで」  水に、波に脚を取られてなかなか思うように動けない。  凱はとうとう体中水に濡れながら、ようやく波打ち際で怜也を捕まえた。 「あぁあ、捕まっちゃった」 「へっへへ」

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