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第二章・6

 向かい合わせで抱き合い、しばらく見つめあった後、静かなキスをした。  静かな、でも長い長いキス。  舌を絡ませあうと、互いの口に潮の味がした。  静寂を破り、怜也が動いた。腰を浮かせ、凱の体に擦り付けた後狙いを定めておそるおそる沈んでくる。  驚いた。  全くさっきから、驚かされてばかりだ。  夜で、誰も見ていないとはいえ自分から求めてくるなんで。  しかも、屋外だ。  外で交わるなんて、絶対許してくれそうにない怜也が、進んで欲しがってくるなんて。  大丈夫か、と尋ねようかと思った。  後ろを慣らしてもいないし、ローションも使っていない。  そんな状態で、ちゃんと挿いるのか。  しかし、この静かな熱い瞬間を乱すのは惜しかった。  駄目でもともと。  たとえ一つになれなくても、こうして二人抱き合っているだけでも満ち足りているのだから。  凱は怜也にすべてを任せて、ただ見守った。

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