139 / 144
第二章・7
「っん……」
眉をひそめ、軽く眼を閉じた怜也が、ひくん、と跳ねた。
首を反らせ、切ない声をひとつ。
水面からわずかに顔をのぞかせていた凱の分身は、怜也の内に呑み込まれていった。
波に体をとられながら、凱も腰をにじり上げた。
く、くくっと挿入ってゆく。
怜也の内にいざなわれて行く、自分自身。
信じられないくらい、スムーズに挿入っていく。
すべて呑み込まれてしまうと、今まで以上に互いの体温を感じた。
水の浮力で、普段とは違う一体感を覚えた。
気を抜くと、流されてどこかへ行ってしまうような怜也の体。
離れないよう、離さないよう、力任せに抱きしめた。
そっと、苦しげに呻く怜也の密やかな声が漏れる。
波に遊ばれながら体内で動く凱のものが内壁に当たり、擦り付けられるたびに、怜也は小さな小さな声を漏らした。
この月の光の、波の歌の静寂を壊さないように。
凱もまた、あえて自ら動くような真似はしなかった。
このまま、静かに。
体を海に、波にゆだねると自然に体は動く。
不規則な動きは、怜也を次第に追いつめてゆく。
ともだちにシェアしよう!