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第二章・11
「よう。あと何周?」
凱に話しかけられ、怜也は笑顔で答えた。
「これで65周目。あと5周」
「勝ったな」
「え?」
「俺、68周目。あと2周で終わり」
いつの間に。
一生懸命がんばって、凱に追いつき、追い越そうとしているのに、また差が開いてしまった。
いつまでもいつまでも、僕の前を走っている凱。
「悔しい」
「素直だねぇ」
でも、そんな素直なところが大好きだ。
にやにやしていると、突然怜也がダッシュをかけた。
「おい!?」
「あと3周分、追い付いてくる!」
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