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5.夢見るアオハルくん
「杉田くん!」「杉田くん♡」「杉田くーん」
バリバリのスポーツ少年、青春まっしぐらの高校二年生『杉田 泉』は夢を見ていた。それは彼の友人で、小動物めいた美少年の『水谷 栞』が三人出てくる夢である。しかし美少年であるはずの水谷は、その内二人がスカートを穿いて長い髪をしている。杉田の夢の中、水谷少年はいつかのようにコスプレをしているのだ。ああ確かに、本物の女の子より可愛いと、あの時俺はそう思ったのだ。夢の温もりにふわふわしながら杉田は考える。
「「杉田くん、ねえ見て?」」
「え……わっ!!」
異空間、白い白い世界で杉田を囲んだ三人の水谷の内二人、アニメのキャラ(厳密に言えば違うが、杉田にはその区別がつかない)のコスプレをした二人がぴらっとスカートを捲る。目を覆おうとして、でもなぜか夢の中、上手く体が動かない。捲られたスカートの中には、可愛らしい小さなリボン付きの女物の下着があった。
「「ねえ杉田くん、僕ね、本当は……」」
息を飲む。水谷の下着に釘付けになって、そこにある筈の膨らみがないことに気がついてハッとする。
「水谷、お前まさか!」
「だめー!!」
最後の一人、いつもの制服姿にショートカットの水谷が不意に杉田の腕に縋りついてきた。水谷はいつもの潤んだ猫目で、ジッと甘く杉田を見あげてくる。
「水谷くん、あっちは偽者だよ! だって僕、本物の僕を思いだして?」
「本物の……?」
「うん、だって杉田くんキミ、」
といった次の瞬間に、魔法みたいにポンッと音がして、制服姿の水谷が三人目のコスプレ姿、ピンク髪のアニメのキャラクターになって、ギョッとしてみるとその胸元が肌蹴ていた。そこには確かにぺったんこな男の胸……しかし女の子みたいに可愛らしいぷりっとした胸の突起が露出している。三人目のコスプレ水谷がそっと杉田の手をとって、自身のそこに、手の平をあてがってきた。
「ね? あの時僕のぺったんこなおっぱい触って、一生懸命勃起してたもんね♡」
「はっっ!!?」
がばり。起き上がる。現実だ。杉田は夢から覚めたのだ。ベッドの上から時計を見る。朝練ギリギリの時間だった。それよりも……バクバクと煩い心音にもしやとそっと掛け布団を捲ると。
「うっ、うええええええ!!?」
友人の水谷の夢を見て、杉田は確かにいつかのように、夢の中の水谷に言われたように勃起してしまっていたのであった。
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