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9.キミから欲しい『言葉』

 リンゴ飴もチョコバナナも食べ終えたころ。杉田くんに連れられて、神社の階段を上がってはその裏、木々の中をかき分けると開けた丘の上に出た。二人で苦労して辿り付いた途端に『ドン!』と大きな音がして、遠くの海辺から花火の大玉が上がった。パッと夜空に光った花は、すぐに儚く散って消える。 「わあ、本当に良く見える!」 「だろ? 海が見えるから、花火も見えると思ったんだ」 「芝生もここだけ整ってるね、それにしては子供達もいないし……」 「もっと人で溢れるかと思ったんだけど、何でだろ、はっ……!」 「杉田くん?」  杉田くんが可愛い僕から目を離して、草むらの影に目をやっているのを僕も覗き込む。そこではカップルと思しき男女が、何ていうかイチャついてはチュッチュと口付けをしていた。バッと僕の目を覆った杉田くんだったが、良く聞くと反対側からも艶めいた声が聞こえて……今度はそっちを見ようとしたところ、杉田くんが『お、おい!』と声を潜めてしかし注意してくる。ゆさゆさと、草々が揺れている。アレはもしかしなくても、野外プレイと言うものでは。杉田くんを見上げると『そう言うスポットだから子供はいねーのかよ!!』という心の声が張り付いた、引きつった顔をしているから僕は、 「杉田くん? 何だか人の気配がするね、」 「あ、アッハッハ、気のせいじゃねーか水谷!? それより花火見ようぜ!!?」 「そう? あっ、おっきいの!」  一旦は花火を見て、大きな花が咲いたのを見て僕は、他人の野外プレイはさておき嬉しくなる。というかこれ、チャンスじゃないか? 杉田くん、思いっきり意識してる。グッズの入ったズボンのポケットを触ってる。思うとより上機嫌で僕は、キラキラした無邪気な笑顔を杉田くんに向ける。 「あはっ、キレーだね!」 「……お前の方が、」 「えっ、なに?」 「!! いや、つい……」 「そうだ杉田くん、突っ立ってないで座ろうよ」 「お、おう」  言ったとおりに芝生に並んで座って、ついでに杉田くんの腕に絡みついてピットリ引っ付く。ビクッと杉田くんが身体を強張らせたから猫目で見上げると、杉田くんはゴキュッと唾を飲み干した。 「薄暗くて……ねえ杉田くん、あの日のこと思い出すね」 「あ、あの日!?」 「体育館倉庫で閉じ込められて、暗いのが恐い僕のこと、杉田くんは一生懸命慰めてくれた」 「水谷、」 「ついでにえっちなこともされたけど、」 「!! わ、悪い俺、あの時はなんつーか!!」 「謝らないでよ。言ったよね、僕、杉田くんになら何されても良いんだ」  女の人の高い嬌声が微かに聞こえる中で、僕はスリスリと杉田くんに擦り寄る。もう一度、杉田くんが唾を飲みこむ。わかりやすい人だ。可笑しくなってニンマリしていると、スッと両肩を掴まれて一時少しだけ身体を離される。目と目が合うと、花火の音も遠くとおくなって二人は二人だけの静寂にいるように感じた。 「水谷……その、良いか?」 「うん♡」  瞼を閉じると優しい口付けが降ってくる。前に散々ちゅっちゅとしたから、ファーストの時よりは柔らかく上手になったキスだった。ああ僕達、アベックみたい。古い言葉で自分達を揶揄しながら、僕は口内に侵入してきた杉田くんの舌に答える。ちゅく、ちゅ、と、花火の音に口付けの音が混じってなんて青春の夏らしいんだろうか。自堕落だった僕は杉田くんに、青春というものを教えてもらっている。杉田くんは僕のことが『  』なんだ。思うと嬉しくて、少し調子に乗ってしまう。ちゅ、と舌を離して銀の糸を伝わせて、それが切れると僕は杉田くんの野球のしすぎでゴツゴツした手を掴んで、自身の胸元にスルッと侵入させる。俄かに焦って杉田くんが、『みっ、水谷!?』と僕を見るから僕は潤んだ瞳で潤った唇で、小さく囁く。 「ね、おっぱい弄って……」 「っっ!!?」 「この前倉庫で、ぼく、杉田くんにちゅうちゅうされたのが忘れられなくて、だから、」 「おまっ、エロすぎっっ!!」  殆ど叫ぶ位に杉田くんがそう言うと、浴衣の中に侵入している手をぐいっと横に開いてもう片手も使って、杉田くんは僕の浴衣の上半身を肌蹴させた。帯は、緩く締めてあるのだ。礼子姉ちゃんがそうしてくれたから、僕は簡単に野外でおっぱい丸出しになる。そこは杉田くんとのキスで既にツンと少し尖って主張していたから、杉田くんが照れながらも、ツンと片方を突いて生意気にも僕を言葉責めしてくる。 「俺のキスだけで、水谷、こんなに尖ってぷっくりしてる」 「やぁっっ♡ 言わないで、アッ♡」  両手の指でキュウっと摘まむと、捏ねくり捏ねくり僕の桃色を弄りまわして、それに暫くじっと血眼になって『あっ♡ やんっ♡』なんてくねって喘いでいる僕の顔を見て、それから杉田くんはまた僕にキスしてきた。おっぱいを弄られながらのキスは本当に気持ち良くて刺激的で、僕はビクビクと身体を跳ねさせる。  くにゅ、くにゅ、カリカリっ♡ 「んっ♡ んぅっっ♡♡」  爪先で引っかかれるとより身体が跳ねて、杉田くんと合わせた唇がずれたりもする。すると杉田くんは一旦キスを止めて『はぁっ』と息を吐いて、それからやっと、オネダリ通りおっぱいをぢゅるっ♡と吸ってくれた。思わず喉を仰け反らせて、杉田くんの短髪を掴む。 「あっっ♡♡」 「ふはっ……コリッコリ」 「ぃやあんっっ♡ 舌ッッ、ちくびっ、ちゅうちゅう吸われるの好きぃ♡」 「ほんっと、お前ってこーゆー時淫乱なのな、んっ♡」 「らって、だってぇ♡ 僕、杉田くんに触られるのがイイのっっ♡♡」 「……イイ?」 「そぉ、イイ♡ あッー♡ 乳首吸われてお尻ジンジンしちゃうよぉ♡」 「お尻? お前、ケツも良いのか?」 「ひんっ♡!?」  わざとだ。態とお尻のことを口に出したのだ。すると計画通り、杉田くんが乳首に吸いつきながら、僕のお尻を両手で割り開いてむにぃっと揉みこんでくる。暫く優しく揉んで、ちゅぽっと乳首から顔を離すと杉田くんは、僕の耳元に囁く。 「……水谷、四つん這いになれよ」 「はっ♡ ぅ、うん……」  いつもの優しい杉田くんじゃない、命令形にときめきが止まらない。僕ってMなのかな? 思いながらも芝生の上で、下駄も足から外れてしまって裸足のままで、杉田くんにお尻を向ける形で四つん這いになる。するとガバッと杉田くんが浴衣の下を捲りあげて、性急に僕のボクサーパンツを脚から引っこ抜いてきた。外で、野外でお尻もおっぱいも丸出しになって、しかもそれを杉田くんに見られている。しかも周りには同じく沢山のアベック、ゾクゾクして止まらなかった。杉田くんは後ろでごそごそズボンのポケットを探っては、礼子姉ちゃんにもらった小袋のローションを取り出して『よし、』とそれを口元で開ける。 「杉田くん……? お尻、恥ずかしいよ、何するの?」 「ハハッ、お前がケツが疼くって言ったんだろ、っと」 「ひゃんっ♡」  ローションが僕の双丘に垂らされて、同じくそれが絡んだ杉田くんのゴツゴツした指が、やっぱり童貞だからか性急に、ぐぬっと一本僕のナカに入ってきた。そこはある程度……指くらいなら慣れているから杉田くんのも容易く飲み込んで、うねるナカの感覚に、杉田くんがごきゅっとまた唾を飲む。 「水谷のナカ、あったけぇけど狭いな……本当に入るのか?」 「あぅっ♡ あっ、はっ♡ やっ、やだぁっっ♡ ナカでごりごりしにゃいれっっ♡!?」 「んっ、ここか?」 「ぁひゃっ♡!?」  杉田くんは野生の勘でか、僕の男の子のGスポットを探り当ててはそこばかりゴリゴリと擦るから、僕の性器は前はめくれていない浴衣を押し上げて、先走りを零して止まらない。でもそんなのはどうでもいい。だって杉田くんと、汚すために着てきたのだ。露出した乳首が寂しくて、指の動きに合わせてお尻を振りながらも、杉田くんにオネダリしてしまう。 「やっ、やっ♡ ねっっ、すぎたくっ♡♡ おっぱいも触ってよぉ♡」 「くはっ♡ ほんと水谷、欲張りっ」 「ぁンっ♡ それぇっ♡ きもちぃ♡♡ ハッ」  僕の言葉を皮切りに、杉田くんは僕の背中に覆い被さるようにして、首筋に口付けながら片手で乳首を抓って、もう片手で僕のアナルをずちゅずちゅと慣らす作業をする。杉田くん、童貞だ童貞だって思っていたけどこんなの♡ 彼って何でも器用にこなすから、きっとだからだ。全身気持ちよくて僕は芝生に腕をおり曲げて置いてそれに顔を擦りつけながら、尻を突きあげる形でアンアン喘ぐ。杉田くんと一緒に♡ と思っていたのに可愛らしい僕の包茎は、もう限界みたいだ。 「あっ♡ あっ♡♡ すぎたくっっ♡ でちゃうっっ♡ そんなっ、僕ひとりで、ぇっっ♡!?」 「ん、遠慮なく射精(だ)せよ……♡」 「ぁっ、んーっっ♡♡」  浴衣の袖口を噛んで声を抑えながら、どぴゅっ♡と短く僕は射精した。腰がへたって僕は芝生の上で力尽きて、『はぁ、は』と息を整える。それを杉田くんが、僕のナカから指を抜いて乳首からも手を離した杉田くんが、自身の手と僕を順番に見やってぽうっとしている。僕はごろんと仰向けになって、ゆっくり起き上がっては杉田くんのジーンズを見る。そこは勿論限界とばかりに勃起して押しあがっており、彼も随分我慢しているのだろう。そう思うととてもいとおしい。今度は座りこんでいる、杉田くんの股間に顔をもって行くと、ジジジとジーンズのチャックを開けて、ぽうっとしたままの杉田くんの下着から、ぼろんと彼のご立派な性器を取り出した。そこにきてやっと、杉田くんが気がつく。 「わっ! ナニやってんだ水谷!?」 「えへ……礼子姉ちゃんに教わったんだ。杉田くん、これしたら喜ぶよって♡」 「えっ、あっ! くぁっっ!?」  躊躇なく、大好きな杉田くんの性器だ。だから躊躇なく僕はその先っぽを、小さなオクチで銜えてジュジュっと吸い上げる。カウパーがダラダラで変な味で、吸い上げた途端杉田くんは軽くイってしまってぴゅるっと精液を零したから、それを舌の上で転がして味わって、目にハートマークを浮かべる。 「んっ♡ 変な味……♡」 「あっ♡ み、水谷、俺は良いからっ……ってぇ!?」 「んぅっ♡」  ズポンっ♡ 一気に喉奥まで銜えたけれど、杉田くんのはあんまり大きくて、根元までは無理だった。それでも杉田くんは喉を仰け反って、僕の口内で本格的に達した。ゴプッ♡ ドクドクッッ♡♡ のどに注がれる熱いものに僕は咽るのを我慢して、『んっっ、んん♡』とくぐもった声をあげてそれを飲み干した。 「っっぷぁ♡」 「あっ……はぁ、は、み、ずや? まさか、飲んだのかよ?」 「んっ♡ ケホッ。そうだよ、これも姉ちゃんに教えてもらったんだ♡ ふふっ、のどイガイガするね」 「お前……てか、お前の姉ちゃんってすっげーのな……」 「そう? 礼子姉ちゃんのこと、僕は好きだけど、」 「いや俺も、その……こうなったら感謝しかねーよ」 「それにしても、杉田くん♡」  口から抜き取った杉田くんの性器はなおもバキバキに勃起しているから、おっぱい丸出しで扇情的な姿の僕はそれに頬擦りをして、それから腰をおきあげる。杉田くんの上に跨っては、浴衣を捲くってフェラで興奮した自身の包茎も、杉田くんに見せ付ける。 「まだ、カチカチに勃起してるよ♡ ねえ杉田くん、ぼく、僕で杉田くんを慰めてあげたいな」 「みっ、水谷まさかお前っっ」 「うん、これも姉ちゃんに教わった♡ ねえ、僕のお尻で、杉田くんのおちんちん慰めるね?」 「む、無理だ! 無理無理無理! だってお前んナカあんなに狭くて、だから本番は今度にしようって俺!!」 「僕もだって、お尻疼いて我慢無理だよぉ♡ ね、良いよね、」  言いながら、ローション塗れで杉田くんに慣らされたアナルの入り口で、杉田くんの先っぽにキスさせてはグリグリする。ちゅうっと僕の入り口は杉田くんに吸いついてヒクヒクして『早く♡ 早く♡♡』と自分の身体ながら勝手に言っているようだった。向かい合って正面座位で、杉田くんの肩口に擦り寄っては息を飲んでまっかっかな杉田くんの、勃起性器を片手で固定して、腰を落として行く。 (んっっ……くるしぃ♡)  ズヌっ、ズ、ズル、ズッチュン! 「はぁっっ♡♡」 「うあっ♡」  根元まで挿入しきると、お互いに濁った声をあげる。思ったよりも入るものだな、苦しいし、少し痛いけど……僕と杉田くん、きっと体の相性も良いんだ。固定していた手を離して、杉田くんの背中に手を回す。杉田くんの耳元にちゅっとキスして、至近距離に顔をもってきて可憐に妖艶に微笑む。 「はぁっ……えへへ、ほんとう、にっ、挿入っちゃった♡」 「あ、あ……お、俺、水谷とセックスして……!?」 「そう、セックス♡ セックスっていうんでしょ、これ♡ ひとつになるのって、なんかイイ……ね♡」 「はぁ、はっ、はっ、ナカ、アツ♡ 水谷、おま、お前んナカ、きっもち、良すぎっっ!!」 「はえっ……? ぁぐっっ♡♡!?」  杉田くんが、僕にされがままだった杉田くんが突然に、僕の震える腰をガッチリ掴んできて僕を持ち上げ根元まで抜いて、それからズチュン!! とまた最奥を突いてくるから僕はキュウウ♡と絞めてしまう。杉田くんからも僕からも、先走りがぴゅるっっと噴出する。僕の目の前には、星がチカチカと散っているようだった。 (杉田くんの……雄が覚醒してるっっ♡♡) 「あっ……はぁ♡ うそっ、ぼく、」 「水谷っ、水谷っっ! ピストンするぞ、するぞ???」 「あっっ♡ んっっ♡ うんっ♡ うんっっ♡♡ してっっ? ピストンしてっっ、ぅあ!?」  杉田くんはまたもや正気じゃない。セックスの時、始めてのセックスなのだから当たり前と言えばそうだが、錯乱して興奮しまくっている杉田くんも可愛くて、言っても僕も殆ど錯乱状態で、杉田くんからのピストンを、腰を振りながらも受ける。  ズッ、ズッ! ズッ! ズパンっ! ズパンッ!! 「はっっ、はぁっ、は、ぁはっ♡」 「っ、くっ、はっ♡ あっ♡♡ みずやっ♡」  暫くそうしてピストンして、早漏じゃない杉田くんは結構持った方だ。少ししてから僕のナカに、 「っっぅあ、射精(で)るっっ!!」 「あっ♡ ナカ出しっっ♡♡」  どぷんっ! ドクドクっっ! と、僕から思わず出た言葉通り、姉ちゃんにもらったコンドームも付けないままで僕に中出ししたのであった。そうして僕も、杉田くんに種付けされた幸福感と興奮に満ちて、ドクドクと注がれるあったかいナカの感覚で初めてにしてなんと……、 「んぁっっ♡♡ はぁーーーーっっ♡♡」  ぴゅるっ♡ ピュピュ♡ とまた、今度は杉田くん自身をナカに感じながら、トコロテンをしてみせたのであった。 ***  花火が終わるまで二人でぼうっと芝生に重なって倒れ込んだまま、繋がったままで僕等はぼうっとしていた。不意に周りの人々が帰り支度を始めたこと、花火終了のアナウンスが大音量で鳴り響いたことに気がついて、僕は自分から杉田くんを抜き取る。ズポンっ♡ 「んっ……あ、勿体無い♡」 「はっ、水谷!!」  自身のアナルから零れ出す杉田くんの凄い量の精液を、指で救って絡めて遊ぶと杉田くんがボッと今更顔を真っ赤にする。僕は浴衣を直して下駄を履いて、杉田くんはズボンを穿きなおして、ふらつく足取りで杉田くんに支えられて僕は立ったけれど、まだ腰が震えているから杉田くんに、帰り道は負んぶをしてもらったのだ。自分で直した浴衣はまだ少し乱れていて、午後九時に僕の自宅に送ってもらうと玄関前で、僕は杉田くんに降ろしてもらって自身の姿を見やる。 「あはっ。まだ僕ってばヨロヨロだね」 「わっ、わりぃ水谷! 俺、無茶苦茶したよな!!」 「だから、謝らないでってば」 「あ、そうだったな……」 「ふふ♡ なんか、変な感じ……あんなに繋がってたのに、実感沸かないや」 「……俺もだ、水谷、その、俺」  と、杉田くんが遂に大事な言葉を僕に、言ってくれようとしたときだった。ガチャ、と玄関扉が開いて、中から私服姿でロングヘアーの礼子姉ちゃんが出てきた。 「ガキ共、帰りが遅いぞ?」 「「っっ!!?」」 「んっ、あらら。イイトコだったのね、ごめんごめん」 「もうっ、礼子姉ちゃんっ!!」 「あっ、あああああの、お姉さんスミマセン! 俺、失礼しますっっ!!」 「「あっ」」  悪ぶれない姉ちゃんの顔を見ると、弟を良いように抱いたのが居た堪れなかったのか杉田くんが、急いで大事な言葉も忘れて、駆け足で僕の自宅前から逃げて行ってしまった。 (杉田くん、殆どヤリ逃げだよそれじゃあ……)  思って眉を上げていると、姉ちゃんが僕の隣まででて来て杉田くんの後ろ姿を眺めては、それから僕のヨレヨレな浴衣を見て『あら』と口元に手をやる。 「上手くいったみたいね、栞♡」 「あ、うん……姉ちゃんのお陰、でも」 「でも?」 「『大事な言葉』……それでもまだもらってないんだ、」 「嘘っ、ヤリ逃げじゃんそれ」  やはりここは姉弟の阿吽で意見が合った、僕の高校二年の夏休み、花火大会の夜のことであった。

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