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第2話

左耳が聞こえなくなり障害者となった俺は、世間体を気にする親に捨てられた。 5歳で兄貴を失い、6歳で家族を失った。 白髪が黒髪よりも多くて少し皺が目立つおじさんとおじいさんの間くらいの大人が俺の手を引いてあの家から連れ出してくれた。 そして初めての新幹線に乗り、黒くてかっこいい車に乗せられて連れてこられたのが、周りに山しかないコンビニに行くのも車で40分の山頂に近い家だった。 「今日からここが幹都(みきと)の家じゃ。そして、わしが爺ちゃんじゃ」 一緒に家の中に入り、紹介してくれたのが、良二さんと牧瀬さん、一瀬さん。 爺ちゃんの身の回りをしている人達で、俺のこともしてくれるらしい。 「よろしくお願いします」 頭を下げて挨拶をすると、よろしくなと言い頭を撫でられた。 小学校の入学式では、新入生は俺1人。 教室の前の黒板を俺が使って、後ろの黒板は二年生が使う。 複式学級というらしい。前に行って、後ろも行って45分の間に2学年分を教えている先生すごいよね。 2年生は女の子2人で、本当のお姉ちゃんみたいに色々と世話してくれて、不便さを感じることなんてなかった。 1学年に2人か3人の小さな学校。 おかげで左耳が聞こえない事を揶揄われる事もいじめられる事もなく過ごすことができた。

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