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第5話

元地元を見て回る事もなく、直ぐに田舎に帰ってきた。 高校生活も始まり、それなりに慌ただしく過ぎていく。 あれから紀明さんとはメールでやりとりをしている。 家から見る景色を写真で送ると、そこ電気通ってるの?と返事が来た。 俺を原始人みたいに言うんじゃ無い。 電気がある事を証明する為に、電柱の写真を送っておいた。 たわいも無い日常を写真で切り取って見せて、また紀明さんからも写真を送ってもらって。 遠距離の彼氏彼女か! 心の中で突っ込んでしまったのは一度や二度では無い。 それくらい紀明さんの事が好きになっていた。 性別は気にならないと言ったら嘘になるけど、紀明さんと恋人になるなら些細ない事だなって思う。 でも、伝えない。 男を好きになったなんて兄貴に知られたら、また失う事になる。 俺の中にいる兄貴って存在すら消えてしまうと思うんだ。 生きて会えなくても、やっぱりいつまでも心の中には兄貴が居る。 消えてくれない。 まぁ消えないからこそ、グレる事も無かったんだけどね。 大学に受かったと報告メールと一緒に添付された写真。 その写真には、こいつと一緒に受験頑張ったんだって、こいつが居てくれたから頑張れたって、もちろん俺とのメールのやりとりが1番の支えで息抜きになって助かったって。 ありがとうって、次は幹都の番だな!って。 兄貴と一緒に肩を組んだ写真を送ってきたんだ。

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