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第6話
確かおめでとうって、俺は大学行かないって返事した気がする。
拒否設定するのは悪い気がして、けど連絡は取れないようにしたくて。
ずるいとは思うけど、言い訳欲しくて、番号を変えてアドレスも変えた。
共通の知り合いが居ないことに、ホッとした。
爺ちゃん繋がりで来る事は無いと思うし。
そこまでやって俺と繋がろうとは思っていないだろう。
よくスマホで連絡を取り合って居た俺が、急にそれを辞めた事に気づいた友人には、大丈夫か?と心配された。
「恋人と連絡をしていたんだと思っていた」
そう言われるほど俺は、紀明さんとの連絡を楽しんでいたようだ。
「顔がね、恋する顔だったし」
なんだそれって言ったけど、顔も熱いけど、耳も、いや、全身が熱かった。
友人には、好きだったけど想いを伝えるよりも先に向こうに恋人が居たみたいだと、説明しておいた。
その日は友人達に奢られて、カラオケと夕飯に行った。
「俺たちの青春は今からだー!涙は心の汗だー!」
訳の分からない事を叫んで、ジュースを飲み、たこ焼きとフライドポテトをつまみながら歌って、また叫んで。
叫んでる最中に、入ってきた店員さん戻ってから腹抱えて笑ってそうだった。
あの場で笑わなかったけど、吹き出す寸前な顔してた。
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