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第8話

自分を変えたいと友人に相談した。 まず何から始めようか、と考えて髪を切る事にしたんだ。 左耳を隠す為の、ボサボサ髪をどう切ったら良いのかと悩み始めると前髪を切るだけで良いんじゃないかな?と言ういつもの状態から抜け出せそうに無かったからだ。 そこから始まった、 『題して幹都改造計画!』 いつもの友人達に連れられて、髪型を変え、メガネをコンタクトにし、服装もちょっと大人っぽくされて。 「嘘だろ……」 かーんせーい♪のみんなの声で、姿見の前で目隠しを取られた。 鏡に映る姿は、紀明さんと一緒に写っていた兄貴だった。 涙を流す俺を友人達は感動したのかぁと言い、代わる代わる抱きしめてくれた。 俺の涙に感動してみんなも涙と鼻水を流していた。 鏡に映る自分を見た時は、紀明さんを思い出し胸が苦しくなり、兄貴と似た自分にこれじゃ街中で知り合いに会った場合、兄弟だってバレてしまう恐怖が襲ってきたのだ。 だけど、友人達の勘違いの涙のおかげで、気持ちが軽くなり切り替える事ができた。 店員さんもウルッと来たようで、鼻声と笑顔でありがとうございました!と見送られた。 俺の左耳には軽く毛先がかかっているくらい。 耳に髪の毛をかけると全部見えてしまう。 形は変わらない。 けれども機能しなくなった耳。 友人達のおかげでそれも気にせず曝け出す事ができた。 俺にとっての第一歩だった。

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