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第11話
兄貴について回る俺を見ていたこと。
その時から可愛いと思っていたのに、二年生の夏休みから会えなくて、兄貴に合わせてくれと頼んでいた事。
「幹都はどうしたの?って聞くじゃん「あいつはもう弟じゃ無い!2度と俺の前であいつの話はするな!」って言われてから、聞けなくなっちゃった」
寂しさを思い出すように、囁くような小さい声で話すから、その時の紀明さんも抱きしめてあげる気持ちで、抱き着いた。
抱き着いた俺の背中をトン、トン、トンと優しいリズムで叩きながら話を続けてくれた。
それからも兄貴とは友達を続けていて、俺が入学してくるのを待ってくれていた事。
ある日、青白い顔した兄貴が「幹都がうちの子じゃ無くなった。弟じゃ無くなった。」泣いていた事。
「泣きながらさ「俺が、お前は弟じゃ無いって言っちゃったからだ」ってずーっと自分を責めていたんだ。俺のうちはまぁ、知っての通りヤクザなわけですよ。で、父親に調べてもらったんだ」
俺がどこに住んでいて、誰と暮らしているのかなど。
爺ちゃんも一般人じゃない事は分かっていたけど、ちゃんと聞いた事は無かった。
まさかの紀明さんのお父さんと同じヤクザ。
しかも1番トップの会長だった。
俺を引き取る事になり、会長を他の人に渡して田舎で隠居生活。
本当に爺ちゃんには頭が上がらないね。
「幹都が元気に暮らしているのは聞いていたから、俺が幹都を迎えに行けるようになりたくて、勉強も運動も頑張ってきたんだ。」
頬を朱く染めながら照れくさそうに笑う紀明さんは、幼く見えて可愛くて。
「中3くらいから父親の会社の手伝いをして会社経営とか学んだりしたんだ。高校になってから起業をして、結果を出せるようになってきたご褒美だって、幹都に合わせてもらえた。」
いきなりぶっ飛んだ情報が入ってきたけど。
それよりも。
「だからあの結婚式に参加させられたのか」
すごく不思議に思っていたんだ。
爺ちゃんの知り合いとは言え、知り合いの娘さんの結婚式に俺まで参加するのか謎だった。
ようやく納得できた。
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