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第12話

「あの時に見せてくれた幹都の笑顔が変わってなくてすごく嬉しかったんだ」 そう言って嬉しいを体現する様に紀明さんの俺を抱きしめている腕に力が入る。 細く息を吐き出してから、兄貴の話をしはじめた。 紀明さんが知った俺の話を兄貴に聞かせて少しずつ落ち着いていったらしい。 思い出したように「幹都が居たらな」って寂しそうに笑いながら言葉を溢していた事。 中学になり、ある日突然「俺も紀明には負けない。幹都に自慢の兄貴だって思ってもらえるように頑張るからな!」と紀明さんを指差して決意表明をしてきた事。 それからは2人してお互いに切磋琢磨して、時には励まし合い、時には酒に見立てたジュースを片手に泣いたり。 「大学の合格発表の日に、さりげなく写真を送って兄弟で会えそうか反応を見てみようって2人で話をしたんだ。」 写真に触れる事なく返事をされ、まだ時期が悪かったんだなって、もう少し様子を見ようとしたら2日経っても、3日たって連絡が無くて、そこで初めて連絡が取れなくなったんだと気づいた事。 「目の前が真っ暗になるってこう言うことかぁって思ったよ。絶望ってこう言うことなんだなって」 眉毛をハの字にしながら言うから、泣きながらさごめんって言った。 後からこの時の話をすると「大号泣しながら叫ぶように謝ってたよね。」って言われる事をまだ俺は知らない。

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