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第13話

進路で悩んでいた事を聞き、まだ何もないなら紀明さんと一緒に生きていく事を考えてほしいと、このままだと離ればなれになってしまうと怖くなって、勢いのまま来てしまったと。 どこかバツの悪そうな顔をして、鼻をかきながら言ってくれた。 「お爺さんには、幹都が俺を選ぶなら許すと言ってくれた」 俺の前で床に片膝を突き、指輪の入った箱を差し出して、「俺と結婚してください」と神剣な顔で言ってくれた。 指輪の箱を持つ両手は、少し震えていた。 「俺でよかったらお願いします」の返事の後は、3度目の酸欠に陥った。 紀明さんのキス気持ちいいんだけど、初心者には辛すぎるものがある。 鼻で息をする事を教えてくれたけど、泣いて鼻詰まってるからね? 無理だよ? 左耳の事は、知らなかったらしい。 多分、兄貴が知ったらおかしくなってしまうと爺ちゃんが心配したのかもしれない。 爺ちゃんにとっても、兄貴は大事な存在なのだろう。 2人でそのまま寝落ちして、翌朝、朝ご飯を食べながら、爺ちゃんに結婚する事を報告した。 辛い時はちゃんと言ってくる事。 幸せな報告もちゃんとする事。 離婚する事になったらここに帰ってくる事。 と、離婚の事まで言われた時の紀明さんの慌てようにビックリした。 「絶対に離婚なんてしませんし、そんな事を考えさせる暇も無いほど幸せにしますから!」 ご飯粒飛ばしながら、爺ちゃんに宣言してた。

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