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第15話

「この街は俺をダメにする」 都会で住みはじめて、すぐ近くにスーパーが有る為によく買い忘れをする様になった。 田舎だと牧瀬さんが居て、在庫管理をちゃんとして居たから気にしたことが無かったってのも有る。 ちゃんとメモを取ろうと決意を新たにメモ帳とペンを買いに行こうと決めた。 紀明さんは大学に行って今は居ない。 買い物に行きます。とメールして、それから出かける準備を始めた。 冷蔵庫の中身を確認して、着替えをして、財布の中身を確認して。 トイレの汚れが気になって掃除をして。 洗濯物を干すのを忘れて居た事に気づいて干していた。 「電話もいっぱいしたんだけど、繋がらなくて」 息を切らして汗をかきながら、紀明さんが帰ってきた。 メールを送ってから2時間経っていたようで、心配をして急いで帰ってきてくれた。 俺が居る事を確認するように抱きしめながら頭を撫で、背中を撫でてくれた。 「ちょ、ちょっと待って!俺、買い物に行きたい!」 不穏な動きをし始めた手に慌ててやめてもらおうと見上げたのがダメだった。 キスをされ、口の中で暴れ回る舌に腰抜けにされ、夜には無事にベッドの住人になった。 「買い物に行きたかった」 愚痴る俺の世話を楽しそうに笑顔でする紀明さん。 「俺をダメにするのは紀明さんのせいか…」 紀明さんは使ったタオルを持って部屋から出ていった。 なんとなしに言った言葉は聞こえていたようで、「今のはどう言う意味?」と急いで戻ってきた紀明さんは、あーヤクザの息子だなぁって感心するくらいに笑顔だけど目が笑ってなくて、空気も2、3度下がった気がする。

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