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+月ノ夜本編+【大好き】最終話

「……?」  何だか微妙に体勢をずらされて。何がしたいんだろうと思った瞬間。 「――――…… ッあ!」  いきなり、下半身に触れられて、声が出てしまった。  触られて分かった。――――……また、すごく、反応してたんだ。 「……ちゃんと、気持ちええ?」 「――――……っ……ん…… ! …… 」 「……こないだのキスん時も――――……こんなんなってた?」 「……っ」  躊躇いつつ、でも嘘も付けず、頷くと。  ふ、と笑う声がして、その唇が首筋に這った。 「……!」  う、わ――――……。  ぞくん、と背筋が震えて、軽く触れられてる下半身に、一気に血が集まった気がした。 「――――……瑞希、 反応がやたら素直やな……」  クスクス笑う涼介の声が いつもより少し上擦ってて。  なんかその声を聞いてるだけで、  何だか――――……腰にクる、というか。 「……っ…… なんか…… やば……」 「――――……ん?」 「……っ……あ、んま、触ンなよ……!」  熱くなって――――……  涙が、浮かぶ。  ぶる、と首を振ると。  涼介が頬に口付けてきた。そのまま何度か頬や額にキスされて。  くすぐったいし、どんどん恥ずかしくなってきて。 「……りょうすけ、ちょ……待って……」  涼介は、ふ、と笑って。 「瑞希……めっちゃ好きや」 「――――……っ」  唇にキスされて、すぐ深いキスにかわる。 「ンン……ふ…… は……」  ぼう、とする。  ただひたすら気持ちよくて。 ふわふわ、と浮かんでるみたいな。 「――――……ん…… …… 」  ベルトが外される音にさすがに焦って藻掻こうとしたけれど、何だかちっとも動けない。 舌がより深く絡みついてきた。 「……んン……ッ」  なんか――――……やばい。  ……だめだ、気持ち良い。   不意に、直に触られて、その手の熱さに、焦る。  ひーーー やだやだ……やっぱり……恥ずかしすぎ!  ……つーか、むり……むりむり……。  心の中はそんな悲鳴でいっぱいだったけれど、口から実際に零れるのは、耳を塞ぎたくなるような、声だけで。 「……ん……っぁ……」  熱い手のひらに直に包まれて、それだけで失神しそうな気すらして。  全身に力を入れすぎて、涼介にしがみついていると。涼介が少し笑った。 「――――……可愛ぇな、瑞希……」 「……ん、あ……ッ」  囁かれて、ちゅ、と耳にキスされて、ぞく、と肩を竦める。 「――――……ふ……っん……!」  優しすぎる位やんわり愛撫され続けて――――…… 物足りなさに、ぴくん、と腰が震える。  唇はずっと、涼介の唇で塞がれてて、絡んだ舌が、本当に溶けてしまいそうだった。 「――――……」  一瞬唇が離されて。 薄く瞳を開いた瞬間。  涼介が目の前で、自分の唇をぺろりと舐めた。  ――――……あ、なんか……どうしよ。  離れたく、ない……。 「涼介――――……もっと、キス……」 「――――……ん」  愛しくてたまんない、とでも言うような顔で笑んだ涼介に、深くキスされる。  その後。  ――――……延々キスされて。  そんな中、お互いのそれを、くっつけられたりして。  ――――……当たり前だけど生まれて初めての感触と。その行為の恥ずかしさに、逃れようとジタバタしたりもしたけれど。  結局は、2人で一緒に昇り詰めてしまった。  ……一緒にとはいっても、主導権は全部涼介にあって。  涼介に愛撫されて、一緒に擦られて乱れた挙げ句、涼介が合わせて達してくれただけなので。  男としては、あまりに全部、なすが儘に任せてしまったので、恥ずかしさで気が遠くなりそう、だったけれど……。  でも。 「――――……ふ……」  小さく、息をついて、目の前でイッた涼介を、頑張って目を開けて見つめてしまった。 「……っう、わ……」  こんな行為の後にしては、変な声をあげたオレを、案の定、涼介は不思議そうに見つめた。 「どした? 嫌やった?」 「……ち、がう……」  ぷるぷる。 首を小刻みに横に振った。  そして。 「……涼介の……イくとこ見るなんて――――……すげえと……思って……」 「は?  ―――――――……何や、それ。 アホか」  オレの言葉に唖然とした涼介が、すぐにぷっと笑い出した。  それから、また。  好きや、と囁かれて。  そして、また。  ――――……深い深い、キス。  息が上がるし、顔が熱っぽいし。涙は浮かんでくるし。気持ちよすぎて半分意識は飛んでしまうし。されるがまま過ぎて。  全部、すっげぇ、恥ずかしいけど。  ――――……涼介とすんの…… 悪く、ない。ていうか…… イイかも。  なんて思う自分が確かに居た。  その後、涼介は泊まっていく事になった。  一緒にシャワー浴びる?と誘う涼介に、オレが真っ赤になって断固拒否したので、シャワーは別々に浴びたけど。  オレはパジャマ、涼介はオレの部屋着になって、寝る準備万端になると。  ずっとそわそわ挙動不審だったオレの手首を、涼介が掴んだ。 「一緒、寝よや?――――……今日はも、何もせえへんから」  これ以上何かあるのかとビクビク警戒しながら、でもドキドキしながらいたのだが、それを察知したのか、涼介はそんな風に言って、笑った。  何だか安心して笑顔になったオレと、そんなオレに苦笑いしながらも、楽しそうな涼介。  ベッドに2人で入ると、涼介はオレをそうっと抱き締めてきた。  かなり。  ……ドキドキする。  至近距離から。 オレはまっすぐに涼介を見つめた。 「……な、涼介」 「ん……?」 「あのな?…… ……あの……」 「ん? 何や?」 「……えーと…… あの……」 「……はっきり言うてええよ。何?」 「うー  ……」  眉を寄せて、困ったような顔をしながら。  オレは、かなり気になっていた事を口にした。 「男同士ってさ…… 最後は、絶対、入れるものなの?」 「――――……はあ?」  素っ頓狂な声をあげつつ、涼介はオレを見やる。 「……痛いの、やなんだけど ……」 「――――………」  何と答えて良いのか困ってるらしい涼介に、ちょっと焦って。 「……あ、でも…… それしないと、お前が 嫌なら、頑張る、けど……」 「――――――……」  抱き締められてる腕からちょっと力が抜けて。   何だかまた、かなりのぐったり感があったものの、今度は涼介はすぐに復活して。  逆に、きつく抱き締めてきた。 「んーーーー……と……」 「……涼介?」 「……………もし……最後までする時は」 「……うん?」 「極力痛くないようにしたるから……  それでええ?」 「――――……」  疲れたような物言いに納得いかない部分はありつつも。  言われた言葉を自分の中で繰り返して、その後、オレは赤くなる。 「……ん、良い、かも……」  言うと、ほんまにオマエは、と、ぶつぶつ言うのだけれど。  それでも、優しい瞳で、涼介はオレをまっすぐに見つめてきた。  ちゅ、と軽いキスが何度か唇に重なって。  それから、頬や瞼にキスされて、瞳を閉じてる間に。  少しずつ、眠くなってくる。 「……りょーすけ…… 眠い……」 「――――……ええよ、寝て。……寝不足なんやろ? ……オレの夢でうなされて」  最後の所は、笑いを含んだ声で涼介が言った。 「……だから…… うなされたんじゃねえって……」  クスクス笑いながら返すと、涼介はまた頬に口付けてきた。 「眠ってええよ……」  向かい合った体勢のまま、優しく抱き締められて。  ドキドキして、眠れねえよ、と思ったのだけれど。  あんまりに暖かくて、ホッとして。  ――――……オレは、ゆっくりと、眠りに落ちていった。 ◇ ◇ ◇ ◇  不意に目覚めた時に目に入ったのは、  まだ真っ暗な空と、そこに浮かぶ月、だった。  今夜も、月がキレイだった。  隣に眠って、自分を抱き締めてる涼介の顔が、月明かりに照らされて、青白く浮かび上がる。  やけにキレイに見えて、  何だか眩しくて――――…… 目を、細めてしまった。  胸の奥の方が、ずき、と動く。  痛みにも似た、けれど、苦しい訳じゃない、何だか不思議な感覚だった。  ああ、なんか、オレ。  ほんの数日間で、こんなにお前の事ばっかになるなんて嘘みたいだ、って。  実はすげえ、思ってたけど。  ――――……もしかしたら、気付いただけで。  ……もしかしたら、ずっと前から、お前の事、好きだったのかも。  だから、ずっと、お前と一緒に居たかったのかも。  ――――……じゃなきゃ、気持ち悪いよな。  告白も、キスも。  ……お前だから。  全部嬉しかった、のかも……。  明日から。 何が変わるんだろ。   恋人になったからって、急に何かが変わったりする気もしないけど。  ……でも。  キスしたい時に、キスできるし。  ……腕ん中で眠るの、すげえ、あったけぇし。  とりあえず、きっと昨日までよりも明日からの方が。  絶対の絶対に。  ――――……幸せに違いない。  そんな風に、思って。 涼介の顔を見つめてほくほく微笑みながら。  いつしかまた、眠りに落ちていった。  寄り添って眠る2人を。  青白い月明かりは、その夜、いつまでも照らし続けていた――――……。 完 完結です(^^) ここまで読んでくださって、ありがとうございました。 この2人書くの楽しくて大好きなので、またいつか☆ by悠里

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