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第2話

岳と出会ったのは・・・記憶にはないけど1歳頃かな。俺の住んでたマンションの隣に越してきた。らしい。 岳の母親と、俺の親。同じ歳の子供を持つ親同士仲良くなるには時間はかからなかったらしい。 だから、岳の母親がおかしくなっているのもすぐにわかったみたいだ。 育児ノイローゼ。泣き叫ぶ岳を抱かない。叩く。どんどんとエスカレートしていく虐待。 ある日。 岳の一生を変えることが起きてしまった。岳の母親は岳の性器を切ってしまった。 オムツを取り替えたくないというそんな理由で。その当時、結構なニュースになった。 母親は精神科に入院し、未だ退院はしていない。そして岳は薬剤師の父親と2人で暮らしている。 短く残った岳の性器は排泄処理は出来るが、女に突っ込む事は出来ない。 女を・・抱けない。それを知っていても何も変わらない、俺は物心ついた時から、岳が好きだ。 それはいつの頃からか恋愛対象になっていった。中学入ったばかりで思春期真っ只中の頃、岳は泣きながら俺に相談してきた。 それは・・・自慰をするってことだった。ただでさえ、悩み多き年頃なのに自慰をすることを躊躇った岳のモノを、俺は初めて他人の性器を触って抜いてやった。 切られた岳の性器は存在を主張するように立っていて愛おしいかった。俺は迷わず咥えてやった。 この先、女を抱くことが出来ないと思った。 岳は俺が・・・と。それからの岳の初めては全部俺がもらった。キスも、フェラも後ろを開拓したのも全部俺だ。 中学の3年間、俺達はやりまくった。毎日、馬鹿みたいに岳を煽って俺なしじゃイけないって程抱いた。 そんな岳を見て驚愕したんだ。妙な色気を纏い始めた。元々、岳は綺麗な顔立ちをしてて細身で手足が長く、よく言う容姿端麗だ。 まあ、俺も負けてはないけど、って張り合うことなんて出来ないくらいその色気は匂って来そうなほど妖艶で振りまく色香は半端なかった。 俺は怖くなって岳を抱くのをやめた。俺がいないとイけない身体にしてしまった罪悪感とこれ以上岳を作り変えるのが怖くなったんだ。 キスをしたり、抜いてやったり、フェラしてやったりはするけど、それ以上はしない。未練がましく岳を見れば盛ってしまう自分を止められなくて。そんな俺でも岳は何も言わず、従ってくれていた。 ********* 高校入学して間もなく気付いた。悠人が俺を抱かなくなった。 その代わり、聞いたこともない歯の浮くような『好きだよ』『愛してる』って言葉を聞くようになった。相変わらずキスしたり、身体を触ってきたり、口でしてくれたりはする。 嫌われてはいない。と思ってるんだけど・・・ でも、悠人は他の人を抱くようになった。知った時、どうにかなりそうなほどショックだった。 もう、悠人は俺のものじゃなくなったって思った。元々おれのものじゃないけど・・・ どうして?とも聞けなくて。なのに、優しく囁いて。 『岳、好きだよ。岳がいればいい』 そばにいれるだけでいい。悠人のそばにいたい。だから、なんで?なんて聞かない。 聞けない。 『岳、好きだよ』 この言葉で、俺は幸せになれる。悠人を好きでいていんだって、まだ好きでいていんだって。 だけど、超えられない深い溝がどんどん広がっていくようで堪らなく怖かった。 「岳、学校慣れたか?」 その角を曲がれば大学をいう道すがら、悠人は聞いてくる。 「まあ、なんとなくな。悠人は?」 「まあなんとなくだな」 俺達の夢は弁護士。なんとなく中学の頃からそう言っていた。 ふっと襟足に目がいく。くっきり着いている紅い朱印。ズキっと胸が痛む。 「首・・・凄いついてる」 「え?」 「キスマーク」 ガバッと手のひらで抑えた。 「俺、どうにかなりそう・・・」 嫉妬で。 「どうなるの?」 「俺も・・・抱いてくれるやつ探そうかな・・・」 ぼそっと呟く。 そんなことしないけど。悠人以外は嫌だ。 「わかってるだろうけど、そんなことしたら確実に相手の奴、殺るから」 悠人は本気で殺る。嘘は言わないから。 「自分勝手だよな。自分は他の奴とヤるくせに俺を抱かない。俺が女いけないの知っててそんなことを言う」 女いけないんじゃなくて、女には興味ないけど。 「ヤキモチ?俺は岳が好きだから、他の奴とヤる」 「意味わからない」 「そう言うな、俺の気持ちは絶対変わらないし、一生岳といるよ。ずっと言ってるだろ?」 「まじわからない!だったら俺は一生!っ ・・・もいい!終んないわ、この話」 「そうだな、やめとけ」 「悠人、最悪!」 「岳、可愛いよ」 そんなやり取りで学校に着いてしまった。それでも、悠人が好きなんだから仕方ない。 そんなやり取りを見られていたとも気付かずに。 「ふーん、そういうこと。いいもの見ちゃった」

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