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大通りから細い路地に入り慣れた道を岳と歩く違和感。
ここをどうやって知ったのか、いつも1人で行ってたの?とか。興味深々で俺の横を歩く。
こんな日が来るなんてな。岳が欲しくて忘れたくて通った道。虚しくなるのがわかっててもどうにもならない男の性を消化しに通った。
誰と肌を合わせても満たされることなんて一度もなかった。二度寝るヤツもいなければ、誘いもしない。行くたび順番待ちのように次々と声をかけて来る奴らの中から、適当に選んでヤッた。
心は満たされなくてもスッキリはする。その後、岳の傷ついた表情を見てホッとしてきつく抱き締めて俺の想いを、愛してるのは岳だけだって注ぎ込むようにキスをしていた。
街並みをキョロキョロしながら歩く岳に道は覚えないでほしいって願った。あの場所は岳の行くような場所じゃない。いけ好かない野郎ばかりがたむろう場所なんだ。
「岳、今回だけだからな。独りで行かないって約束だからな」
俺をじっと見て頷いた。
「約束は守るよ。そんな顔しないでよ。楽しもうよ」
俺の気持ちとは裏腹に岳は楽しそうに笑った。
岳の公然浮気を見て許すなんて出来ない。寸前で止めてもいいよな。誰かに抱かれるなんて絶対許せない。これを平気で許してくれた岳には申し訳ないけど。俺は耐えられないよ。
締め付けられる想いと、申し訳なさとが胸を痛めつける。
見慣れた雑居ビルが視界に入り、岳の肘を掴んだ。
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