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マジなのか?俺以上に好きな奴がいて・・・そんな悩みで気持ちを打ち明けられないのか? いつの間にそんな奴が出来た?俺のことずっと好きでいてくれてると思ってたのに。よりにもよって本気で好きになってくれない奴とか。 悶々とする中 、ふと、出かける前に岳の言ったことを思い出した。 『悠人は凄くモテたって・・・俺の悠人が俺の知らないところで、どんな風にモテててたの?俺がもし口説かれて言い寄られるならそれ、見ててよ。悠人も俺と同じ思いをしてよ。俺の知らない奴が悠人のことを知ってるのは我慢出来ない。どれだけ節操なしで遊んでたんだよ・・・ムカつくんだよ』 俺への仕返しで本気の相手を俺に見れるつもりなのか?傲慢な俺にムカついてこんなこと思いついたのか・・・その言葉の意味はどう解釈すればいい? 「俺待ってみるわ。ごめんね、またここに来てたら声かけて?」 俺じゃない隣の相手に申し訳なさそうに言えば、隣のやつはいかにも軽く岳の肩を叩いた。 「また声かけてよ。相手決まってなかったらさ」 引き際を知ってる奴で良かった。強引なやつもいるからな・・・ 隣の席から立ち上がって周りを見回して出口へと向かった、今日は不発なんだと背中で語ってドアの外へと姿が消えた。 「なんで、俺に声かけたの?」 溜息を吐き、俺に問う岳が鬱陶しく思ってるのがわかる。せもちゃんと気持ちは伝えたい。 「だって、これ以上は無理だから。岳が誰を好きでここで待ってても俺は岳を好きだし、待つよ、岳の気の済むまで、ずっと」 「・・・びっくりだ・・・待つの1番嫌いなくせに」 「岳のことなら待てるさ、愛してるからな。悲しませてムカつかせた代償はきちんと払う」 「・・・じゃ、その代償、今払ってもらう。どうやって声かけてナンパしてた?俺を誘ってよ」 やっとこっちを見た岳は壮絶に色香を放って、潤んだ瞳で俺を見つめた。 「岳が望むならなんでもするよ。でも今まで声かけた奴に言った言葉は岳に必要ないと思うよ」 身体ごと岳に向け、真っ直ぐ岳を見てそっと頬に手を添えた。

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