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橋の上の街灯の光がぼんやりと川を照らす。静かに流れる川音と冷んやりした緩い風が気持ちいい。横目で岳を見れば川の緩やかな流れをじっと見て何かを考えているようだ。 今日の岳はいつもと何かが違って何かを想いつめている。待ってた奴に岳に心が支配されてることに苛立ちを感じてるけど、元はと言えば俺が原因だしな。俺が身体の浮気をしたが為が原因だから強くは言えない。岳が誰かに惹かれても文句は言えない。 「そいつのことまだ考えてる?」そう聞けばうんと頷いた。 やっぱりな・・・ 「彼はあの店でいつも何を考えていたんだろうって・・・いつもつまんなそうにしてたってマスターが言ってた。つまんなそうにきて、くだらない話をしたて、声をかけて来た奴と適当に遊んでたんだって・・・」 面白くないのにあの店に行って適当に見繕ってたっていうのか。岳が心を奪われてそいつのことに夢中で追いかけてあの店に行ったっていうのに。 「何かを求めてたならそれが知りたかったんだ。どうやって適当な相手を見つけていたのかも見てみたかった」 そいつが岳じゃない誰かを誘ってるのを見てみたかったのか?それを見て傷付くのはわかってるのにか? 「でも、彼は来なかった。それは嬉しいことなんだけど・・・でも彼はモテてたことはわかったし、っていうかモテるし。俺はいつも気が気じゃないし。でもでも、俺の知らない彼を見てみたかった」 「いつも?」 聞き逃せない一言。いつもって、岳の心の中はいつもそいつがいるのか?? 「いつも、だよ。好きになってからずっと。だってカッコ良いし、優しい。多分本人は知らないだろうけど、一緒にいても必ず振り返られるくらいカッコいい」 「そんなに好きなのか?」 繋いだ手に力がこもり、 「うん」と頷き、言い放った。 「そっか・・・そんなにそいつのことが好きか・・・羨ましいな」 俺だって岳のことを誰より好きだし愛してる。でも岳がそいつを好きになってたなら、俺は待つよ。いつまでもずっと。その覚悟は出来てる。嫉妬で狂いそうだけどな。 「愛してるんだ・・・悠人を。だから彼に会いたかった」

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