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沈黙が2人の間を流れる。俺の頭の中は今日の岳の行動を思い起こしていた。 俺が行っていたBARに行きたがってそこで想いの人と約束をしていたと言った。なのに俺を好きだって言う。 でも心の中はそいつのことでいっぱいで彼のこと知りたいと言った。 俺とそいつの間で揺れ動いてるのか? つまらなそうに遊んでいたことを聞いてホッとしていた。 それなのに俺を自分のものだと店内の奴らに知らしめた。 どう言うことだ?岳の中はやっぱり俺が占めてるんじゃないのか? 考えれば考えるほど訳が分からなくなる。 「俺を好きならそいつに会わなくていいだろ?そいつは岳のなんなんだ?」 「なんなんだろうね。やきもきさせられて、傷付けられて、それでも好きで嫌いになれない・・人かな」 その顔は辛そうで以前俺に見せていた顔に似ていた。どうにもならない気持ちをぶつけられて岳の気持ちに安心していた時の顔に。 「岳?」 壊れていきそうな衝動に思わず抱きしめた。 いくら俺を好きでいてくれても、もうそんな顔はさせたくない。あの頃の俺とは違う。その顔を見て安心なんかしない。 心配で壊れそうな岳を抱きしめてやりたい。俺はここにいるんだと抱きしめたい。 「俺はここにいる。岳のそばにいる」 抱きしめた腕に力を込める。心ごと抱きしめたい。安心して笑う岳が見たい。 もう、あんな顔は見たくない。 「彼を・・・」 くぐもった声のその先を聞きたくなくて口元を胸に押し付けた。

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