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勇敢な子豚──10.*

「まだって、貴方が出て言ってからそんなに時間たってないんですけど。今3週目くらいですねえ」 「で、どうだったよ」 「どうもこうもあるか。いい加減うぜえから捨てた」 「えっ、でもジャニスちゃんでしょ? ソンリェンのパパ怒んない?」 「知るか」  彼が戻ってきたということは、トイを苛む人間がまた一人増えてしまったということだ。 「お、ってことはソンリェンも今独り身になっちゃったわけ? お仲間じゃねえか」 「数人いるうちの一人だバカ」 「何人侍らせてんだよてめえはよ!これだから美人さんはよお……ったく、世の女性陣もこんな仏頂面能面野郎のどこがいいんだか。俺のほうがよっぽどいい男だっつーのに」 「黙れカス」 「んー、もしかしてソンリェン今かなり機嫌悪い?」 「そういうことだ、さっさとどけ」 「おい押すなって!」 「──ッ、ァ」  ソンリェンに肩をひっつかまれ後退させられたせいで、トイの中からレオの肉棒が勢いをつけて抜けた。  栓を失った膣から勢いよく精液があふれ出して、切れた入り口に染みこんで痛みに呻く。びくびくと腿を痙攣させて苦痛に耐える哀れなトイの姿に、会話に夢中な彼らが気づくことなかった。 「あっぶねえな、俺のちんこが千切れたらどうしてくれんだよおめー」 「そんなやわで使いもんにならねえブツは勝手に千切れとけ」 「お前ね」 「え、ちょっとまってって、次俺、俺の番だってば、レオの次は俺!」 「うるせえな、年上には従え」 「ええええ年下に譲ってよ!ただでさえレオが長すぎて待ちくたびれてんのに」 「なに言ってんだ、年下のお前のためにトイの処女はお前に譲ってやっただろうが、なあソンリェン」 「あ? トイ?」 「……これの名前だよ」 「ああ、それか」 「お前ってほんとドライだよな。優しい俺が呼び出し喰らったお前に順番譲ってやったの覚えてる?」 「ほんとソンリェン最低! あ、トイって名前すごくない? 完璧玩具になるために生まれて来たって感じだよね」 「黙れバカ共、いちいち玩具の名前なんか覚えてられっか……おいロイズ」 「はいはい、腕押さえててあげますから一発すっきりしてってください」 「ぅ、うあ……」  強い力でソンリェンに太腿を掴まれた。力の入らない体で必死に股を隠そうとした腕はロイズに引き戻されて押さえつけられる。  ソンリェンはズボンの前をくつろげながらトイの股を容赦なく割り開き、精液に塗れぬるぬるになった割れ目にちっと舌打ちした。 「散々出しやがっててめえら……きったねえな」 「すげえだろ?俺のテクでめくれて穴の中丸見え……すーぐ入るぜ」 「どうだか」 「って、えーソンリェン、つけんの?」 「当たり前だ、こんな汚ねえ穴に生で突っ込めるか」 「潔癖すぎんだろ」 「うるせえ、黙れ」  勝手なことを言いながら、さっさと避妊具を取り出し着用したソンリェンは、長時間酷使されぽっかりとあいてしまったトイの空洞にひたりと切っ先を添えてきた。首を振って腰を引く。 「おい、てめえこっちの足押さえとけ」 「人使い荒すぎだろ」 「さっさとしろ」 「しょうがねえなあ暴君は……はいはい、ご開帳」  指示された通りに片足をソンリェン、そしてもう片足をレオに大きく割り割かれ、ぷっくりと赤く腫れたそこがトイの眼前に露わになる。 「……ねが、おねが、い」  震えるトイの懇願になど耳も貸さず、ソンリェンは反り返った凶器を容赦なく押し込んできた。 「……あ、ッ、や、ァああ―――ッ、」  ずずずっと肉壁を割り割かれる衝撃に泣きながら仰け反るが、男たちに固定されびっちりと奥まで挿れられる。  何人もの男達に代わるがわる犯されたそこは確かに緩んではいるが、トイは平均的な同年代の子どもたちに比べても華奢な身体だ。既に出来上がった体を持つ男性の膨張したそれを突き入れられるたび激しい痛みと苦しみに苛まれる。  それなのに彼らの挿入には一切の容赦がない。欲を満たすためだけにただ挿入され、擦られる。  この残酷な男達にとって、トイは好き勝手に性欲の処理ができる肉の塊にしか過ぎなかった。 「どーよ、けっこいイイ具合になってるだろ?」 「ぁ……あ……あ、ァ、は、ひ」 「どこかだ、もうガバガバじゃねえか。クソ、緩すぎんだよ……」  不満たらたらな顔をするぐらいなら直ぐに解放してほしい。しかしソンリェンは止めることなく腰を進めて、いい位置を見つけたのか直ぐに激しい抜き差しを始めた。 「あァっ、あっ……や、ぁ、あぁっ」  ぐちゅぐちゅと中に出し入れされるたび、腹部が肉の形にそってぽこぽこと波打つ。  地獄のような狂宴だった。どれだけトイが泣き叫んで許しを請うても誰も止めてくれない。この屋敷の使用人たちも、トイをここに連れてきて閉じ込めてベッドに押し込んできたこいつらも全員狂ってる。  延々に続く責め苦はまだまだ終わる気配を見せない。震える臀部を上に向けられ、ただでさえ太い肉の杭を真上から穿たれる。一気に身体の中でいっぱいになる熱量に一瞬で意識が飛んだ。 「――――ッ」 「はは、飛んじゃったな、かーわい」 「何が可愛いだ、締まり悪ィと抜けねえっつってんだろ……起こせ」  顎をしゃくって支持を出す身勝手な仲間にロイズは苦笑しながら、ガクガクと痙攣するトイの頬を容赦なく叩いた。 「うわ、ロイズってば鬼畜ぅ」 「直ぐに叩き起こすためには痛みが一番じゃないですか、まだ起きませんか?」  ばん、と今度は反対側に走った痛みに、トイの遠ざかっていた意識がぐっと引き戻される。このまま意識を失ってしまえば楽になれたのに。トイは絶望に顔を歪ませた。 「おや、お目覚めですかねえ……って、いい顔してるじゃないですかソンリェン、そんなに締まりました?」  ロイズの問いに珍しくふ、と不敵に笑ったソンリェンに、ロイズも緩く笑みを浮かべた。  間髪入れず、ぱん、ぱん、ぱんと連続した鋭い衝撃がトイの両頬を襲った。と同時に下半身を素早く穿たれてくらりと視界が歪んで、ソンリェンの顔すらもぼやけてしまった。 「……ぁ、あ、あ、ぁ」 「うわ、今めっちゃあそこきゅってしたよね、気持ちよさそお……なあ、俺が挿れた時もそれやってねロイズ」 「はいはい。でもあんまり叩くと網膜剥離とかなっちゃうんでそこそこにしましょうねえ」 「なーに甘えてんの。自分で叩けばいいだろーが」 「え、だって可哀想じゃん! 俺そんなことできない」 「……お前の可哀想の基準ってどうなってんのよ」 「ねえねえソンリェン、どう? イイ感じ?」 「まあまあだな」 「はは、無理しちゃって」  ぽんぽんと繰り返される会話の下で、トイは途切れそうになる意識を繋ぎとめることで精一杯だった。  濡れた音がひっきりなしに脳髄に響く。狭い入口が、激しく抜き差しを繰り返す肉棒の動きに合わせてめくれ上がるのを周囲にいる男たちが興奮した面持ちで眺めている。  吐き気がこみ上げてくるのに出てくるのは胃液だけだ。辛かった。 「ぁ、は、ふ、くぁ」 「……あー」 「お、もう出ちゃう感じ? ガバガバとか言ってたくせにソンリェンったら早漏じゃね」 「うるっせえな」  レオの一言に苛立ったソンリェンに、一度ぐんっと腹が浮き上がるほどに突き上げられる。  圧迫感にかふかふと咳き込むトイが落ち着くのも待たず、ソンリェンは今までとは比べ物にならないほどの激しさで中を抉ってきた。 「あ、はッ、はっ……ぁっ、あぁッ、ひ、やァ、あ」  大量に中に吐き出されていた精液が肉の異物にかき回されて、ぷちゅぷちゅと泡立つ。エミーがうっとりとした表情で唾を飲み込んだ。 「うわ、めちゃくちゃ泡立ってるじゃん……すごお」 「さけ……さけるっ、ぁ、やっ、らァ、あぅ゛まっ……」 「おーいソンリェン、まだ使い始めたばっかだから壊すなよ」 「こっち裂けてもどうせもう一つ穴あんだろ」 「あ、ん、あァあッ!あっあっ、やだ、ぁあ、ひァ」 「おい、お前らも見てねえで動け」 「あ、じゃあ俺口に挿れたいなぁ……めっちゃ順番抜かされたもん」  呼吸が喉に張り付いて息すらもままならなかった。黒々と充血した凶器が自分の狭い入り口にずぷずぷと埋め込まれていく様が涙で濡れた瞳に映って、トイは弱弱しく唇を噛みしめた。  できる事なら今すぐにでも舌を噛んでしまいたい。けれども、もう耐えきれなくて噛みちぎろうとした時、敬語を使う一見優しそうに見えるロイズに唇をひっつかまれて言われたのだ。  死のうとすればお仕置きしますよ、と。それに飽きたら解放してあげますので頑張ってくださいね、とも。それだけが今のトイの救いだった。  はやく終われ、終われと薄らいでいく思考の中で何度も祈る。

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