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勇敢な子豚──17.*

 嘔吐感と苦しさから逃れようと必死に唇の端から息を吸い込もうとするが、ソンリェンは一瞬の解放すらも許してはくれない。  それどころか決して逃さないとでもいうように両手で頭部をがっちりと捉えられ、熱い肉の先で無遠慮に喉の奥を蹂躙される。 「ん、ぐ、ぅッ……ふぐ、──……ッ、!」  久しぶりの苦しさにぼろぼろと涙が溢れた。鼻でしか呼吸ができなくて辛い。  頭を押さえてくる力は一突きごとに増し、抱えられた頭を乱暴に揺さぶられ口の中を酷使され続ける。  ビクビクと口いっぱいに脈打つ異物のせいで胃液が込み上げては酸っぱさに喉が焼かれそうになる。圧迫感に視界が霞み、視野も狭まってきた。  もう無理だ。トイは耐え切れずソンリェンの硬い脚を叩いたが力は微塵たりとも緩まなかった。  大人の本気の力に、幼いトイは成す術がない。 「ぐ、……ぅッ、んう、う、ぅ゛」  引き抜かれては角度を変え熱い先端を狭いところにねじ込まれる。突き上げられるたび猛々しい雄の臭いが鼻から目の奥にかけてつん、と広がる。  1年ぶりの激しい口内性交に体が追いついていかない。口の端からだらだらと零れ落ちる体液のせいで、トイの口の周りはもうべちゃべちゃだった。  がこがこと物のように揺さぶられながら、歯の裏も舌の裏側も蹂躙された。 「んっん゛っ、んぐッ、んっ」 「、……出すぞ」  ソンリェンの熱い呼吸が断続的になってきた。次第に挿入の感覚が小刻みになり、口内を侵略する肉欲が細かな収縮を繰り返し始める。終わりが近い。 「飲めよ、全部……吐いたら殺す」  耳の奥に残る脅迫にきゅっと喉が締まり、最後に口から外れるぐらい大きく引き抜かれ、ぐんっと反り返った肉欲を喉の奥まで押し込まれた。 「──ん、ん゛ンッ」 「、ぅ」  ソンリェンの小さな唸り声と同時に、彼の杭が暴れ狂い爆ぜた。どぷっどぷっと中で痙攣するそれから大量の飛沫を注ぎ込まれ、ついソンリェンのズボンを強く掴んでしまった。  冷たい粘液は勢いよく喉の奥に流れ込んできた。頭を抱えられ、一滴も残すことなく吐き捨てられる。容赦のない勢いに涙が溢れても解放して貰えない。  ソンリェンは確認しているのだ、トイが全て飲み込んだかどうかを。 「、げほ……う、ぐ」 「飲めよ」  何度も喉を鳴らし、粘着質な体液を必死に飲み下す。肺の中まで青臭さに満たされていくようだった。  ソンリェンは腰をひとしきり痙攣させた後、頭を押さえてくる力を緩めた。やっと放出を止めた男根が口から取り出される。  白い糸を引いて離れていったそれはまだ硬さを保っていた。 「は、はぁ……ん、……ぅえ、」  ずるずるとソンリェンの腿に崩れ、激しく咳込んだ。気を抜くと気管支の奥に注がれた白濁液が逆流してきそうで、慌てて口を押さえ奥歯を噛みしめ吐き戻さないように耐える。  許可を得ていないのに、吐くことは許されない。 「っ、は、ぁ……」 「口開けろ」  前髪を捕まえられ、顔を上げさせられる。  快感の名残を湛えた支配者に向かって、調教された狗のように口を開いてみせる。  トイの口内に残液がないことを確認すると、ソンリェンはトイの手首を掴みベッドの上に引き上げてきた。昨日と同じようにシーツに体を押さえつけられ、今度はトイのズボンが脱がされていく。  次は挿れられるんだなと、ぼんやりずり下げられる下着を眺めていたのだが、次に訪れたのは予想外の事態だった。 「え……」  ソンリェンに、後ろから抱き抱えられたのだ。  ソンリェンの腿の上に乗せられ、しかも腹に手を巻きつけられて落ちないようにされる。  振り向けば予想以上に近い距離にソンリェンの顔があった。ソンリェンの熱い吐息が首にかかり、密着した背中からぶわっと冷や汗が吹き出てくる。  背後から貫かれた後に圧し掛かられることもあったけれども、こんな風に腕の中に捕らわれ隙間なく密着したことなんて今まで一度もなかった。  この体勢はおかしい。 「そ、ソンリェン……な、に」  何をされるのかとおそるおそる問いかけてもソンリェンは何も言わない。  その代わり長い指が口の中にねじ込まれれ、くちりと無遠慮に口腔を貪られた。 「んぐっ……」  歯の裏を爪で撫でられ、舌の付け根を探られる。くちゅくちゅとそこを執拗に攻められたあと指がさらに二本、三本と追加された。  浅く深く、口内を長い指先に蹂躙される。  たっぷりと唾液を絡めとった指が、ちゅぷ、と音をたてながら引き抜かれた。追いかけるように溢れてしまった唾液が顎を濡らす。  いつの間に服をたくし上げられていたのか、腹部や胸元に手のひらが侵入してきた。 「あっ、ゃあっ」  胸全体を揉みしだくようにいやらしく撫でまわされる。硬い指先がふいに左の胸先を掠めた。  後ろから回された手のひらが、ほとんどない膨らみを押し上げるように揉み扱いてくる。乳輪の周囲をたっぷり唾液に濡れた指先でなぞられ、押し出すようごりごりと捩じられては潰されてひくんと緩んだ腹が震えた。  力の入らない指でソンリェンの手の甲をかりりとひっかくが、無言で定位置に戻される。ソンリェンはトイの胸を弄ることを止めない。  ふくりと尖らせられた薄桃色の先端に長い指先が食い込んできて、流石にトイは首を振った。 「ァッ、や、いた……」 「痛い? 尖らせてんじゃねえかよ」 「お、ろして……ァっ、なん、なんで」 「あ? 誰に物言ってんだてめえ」  ソンリェンの苛立ちはいつも唐突だ。今はまだ仏頂面を張り付けているからましだが、一切表情を失った時の彼はとても怖い。  無意識に地雷を踏み抜いてしまうのが恐ろしくて、再び大人しくなったトイの耳朶にソンリェンは唇を寄せてきた。 「いいから、喘いでろ」 「ひぁっ」 親指と中指でくにっと胸を摘ままれ、人差し指でゆっくりと頂点を押し潰される。にちにちと唾液を胸にこすり付けられる感覚に喘ぎ声が震えた。 「や、……ん、ぁ、あ」 「相変わらず貧相でつまんねえ胸だな」  嘲笑とも苛立ちともとれる声の温度に身が竦む。つまらないのなら触らないでほしいのに、ソンリェンは胸を弄る行為を止めてくれない。 「ん、んんっ」 「……トイ」  耳元で名を呼ばれ、ぞわぞわと耳の中に入ってきた吐息に慄く。  ふと影が下り、ソンリェンの金色の頭が胸元に近づいてきた。目を剥く。 「え、ソン、……っ!」  あろうことか、つんと尖った胸先にソンリェンの長い舌がべろりと這わされたのだ。 「、っや」  後ろから手の平で口を押さえられて、続く言葉が奪われてしまう。トイはソンリェンの手の中で唸った。  摘まみ上げられた乳首が、厚い舌先によって唾液に塗れていく。ちゅく、と口全体で吸われ、飴玉を転がすように舌で舐られ時折かぷりと甘噛みされる。 「んッ、ん」  右がソンリェンの唾液に濡れそぼったら、次は隣の頂へ。熱い粘膜に弄られむず痒くなる感覚とは裏腹に、トイは目の前で起こっている光景から目を逸らすことができず固まってしまった。 「な……んで」  手の平を外され呆然と呟く。それは昨日からもう何度も問うた質問だった。  どうして胸なんて舐めるのか。トイの平らな胸なんか触っても楽しいことなど一つもないだろうに。  濡らすためだろうか、しかし乾いてる時でも容赦なく突っ込んでくるのがソンリェンだ。自分好みに湿らせたければそれこそ専用のローションでもなんでも垂らせばいい。  これではまるでトイの体に愛撫を施しその反応を愉しんでいるかのようではないか。  ソンリェンが穴であるトイの苦しみ以外の反応に、興奮するわけがないのに。

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