51 / 135

過去──51.*

 部屋を訪れた時もう既に狂宴は始まっていた。  無我夢中で腰を振っているのは、共同生活を営む4人の中でも一番年下のエミーだった。年下と言っても一つだけだが、どうにも子どもっぽい野郎でこの4人の中では案外可愛がられている男だ。 「お、来たかソンリェン」 「……男?」  ちらりと見えた胸はまっ平で膨らみはほとんどない。がくがくと揺れている褐色の両足は棒のようで、ぱっと見は男に見えた。  いや、それとも身体が未発達な少女だろうか、今エミーが突っ込んで腰を振っている部分はどうやら尻穴よりも上の位置だ。新たに穴をあけたとは考えにくい。 「いーや、男じゃねえんだなこれが」 「あ?」 「すげえぞ、両性体だ。膣と尻の他にちんこもある」  一瞬耳を疑い、隣に立って煙草の火を渡してきたレオから火を貰い、たっぷりふかしながらもう一度エミーが組み敷きロイズが腕を押さえつけている小さな肢体を眺める。  確かに萎えた幼い男芯が子どもの腹の上で揺れていた。正直に顔を顰める。 「きめえ」 「お前なー、どんな奴でもいいって言ってたくせにそういうこと言うのかよ」 「ぶら下がってる奴連れてくるとは思わねえだろ、エミーはともかくお前ノーマルだろうがよ」 「お前もだろうが」  ロイズやエミーはともかく、レオがいればそれなりのやつを連れてくると思っていたのだが誤算だった。なぜよりにもよってそんな体を持つ玩具を選んだのか。  両性体なんて見たこともなかったし、珍しいことには珍しいが何もそれを連れてくることはなかっただろうに。 「だから言ってんだよ、バカじゃねえの」 「ま、そう言うなって、案外ハマるかもよ?」 「……何周目」  どうにもやる気が削がれて、煙草を噛みながら残酷な現場を見やる。答えたのはロイズだった。 「それが、まだ一人目なんですよ。エミーがどうしても処女膜破りたいって駄々こねるので」  処女を抱いたことはあったが非常に面倒臭かった。痛がるわ狭いわ硬いわ深くは入らないわ快感もそこまで感じられないわで、その上気を使わないと責められる。そんな処女を食いたがるエミーの気が知れなかった。  しかもあの子どもの肌は褐色だ。移民の血を引く人間はこの地域ではそれほど珍しくはないとはいえ、どう考えても最下層の子どもだろう。攫ってきても足がつかないのはいいことだが、他に色白の少女もいただろうになぜ敢えてあれを選んで来たのか。 「おーいエミー、お前たかが一発でどんだけ時間食ってんの? 長過ぎじゃん」 「だって、処女まんこ気持ちい……ぬるぬるする、すぐ出しちゃうのもったいない、あー、せまぁ」 「あーららいい顔しちゃって……セックス覚えたてのガキかっての。なあソンリェン」  ソンリェンはレオのように笑えなかった。それは犯されている子どもが可哀想とかではなく、絶対愉しめる気がしないと確信していたからだ。   褐色で、あんなくびれもなく棒のように細い身体で、年端もゆかぬ子どもで、しかも男性器が付随している。   エミーもロイズもバイで、特にエミーの方は抱きもするし抱かれもするから男もイケるのだろうが、ソンリェンもレオもこれまで女しか抱いて来なかった。  突っ込む部分が女だとしても、自分と同じ性も持つ子どもなんぞに興奮出来る気がしなかった。 「あーでる、すごぉっ、いくいく、あ〜、処女の生まんこすご、初中出ししちゃうぞぉ!」 「おい、アホらしい掛け声やめろっての」 「だってきもちいいんだってば!」  エミーに好き勝手に穿たれている子どもの膣口は、エミーの性器が出し入れされるたびに中から赤い液体が溢れてきている。切れたのでなければ処女というのは本当のことなのだろう。  見ていて痛々しさはあるが止める気はさらさらない。どうせ輪し続ければそのうち感覚も麻痺する。それよりも重要なのは具合だ。エミーがあそこまで気持ちよさげに腰を振っているのならば悪くはないのだろうが、視覚的な問題がある。   そういえば、処女にしては悲鳴がくぐもっているなと確認すれば、子供の口には布らしきものが突っ込まれていた。確かに処女であれば激痛に女──いや男──どちらでもいいが、のたうちまわるだろうから声が煩かったのだろう。  流石に気持ちよく穴を堪能している最中に耳元で色気もなくやかましく泣き叫ばれれば萎える。 「あ、でる、でる……おちんぽ、ザーメンでるっ」  がばりとエミーが子どもにのしかかって、ぎゅうと強く抱きしめながら腰の動きを早めそのままびたんと下半身を押し付けびくびくと臀部を震わせた。 「あ〜、で、でる……でて、る……ぁ、いっぱい……出るぅ」  どうやら中に出しているらしい。たまらないのか、ぐるぐると腰を回してさらに内壁を堪能している。エミーは上も下も、女も男も構わず寝ているため経験人数は誰よりも多い。そんな彼がここまで夢中になれるということはやはりいいのかもしれない。というか、未開発の穴が珍しいのか。 「全部出ましたか?」 「ん、あと、ちょっと……、まだ出る〜……んあ、出た、やばー」 「じゃあ次は私ですね。エミー、この子の腕を……ってエミー」  さっそく場所を変わろうとしていたロイズは、子どもに突き入れたままくたりと子どもの上に突っ伏したエミーに突っ込みを入れた。 「まって、一発出したからちょっと休みたい」 「しょうがないですねえもう。レオ、手伝ってください」 「はーいよ。おら、エミーどけ」 「やだー入れてたい」 「ざけんなどけろバカ」  なんだかんだでエミーに甘い彼らのことだ。エミーの代わりに腕を抑える係に任命された隣人は煙草の火を消してさっさと乱交現場に参加した。 「あ、ソンリェン、ロイズの次俺だから」 「別に何番手でも構わねえよ。飽きたら回せ」 「ドライなのなー、お前」  飄々と肩を竦ませた男は、先ほどまでロイズがいた位置に移動し子どもの両腕をシーツに押さえつけた。一瞬だけ離された瞬間、子どもがバタバタと腕を激しく振り抵抗しようとしたが難なく捕らえられる。  あんな細い腕で大人3人に抵抗できるはずもないだろうに、意外に気骨はあるようだ。  ふと、興味が湧いた。そういえば、レオとエミーが屋敷に呼んだ複数人と遊びつくしているのは見かけたこともあるし、誘われ本当に気が乗った時だけ混ざることもあったのだが、こうした本格的な輪姦現場を目の当たりにするのは初めてだった。  一人減ってもバレない程度の孤児とは言え、見ず知らずの子どもを犯すのだから当たり前だが。 「あれ、ソンリェン。珍しいね」  煙草を吸いつつ、壁際からベッドの傍へと移動する。レオにずりずりと引きずられベッドの上で胡坐をかいていたエミーは、下半身を丸出したまま珍しく近くで眺めに来たソンリェンの腕に巻き付いてきた。  男も女も関係なくこうして他人にやけに甘えてくるエミーだが、ソンリェンは自分から触れること以外で人に触れられることが好きではない。それは仲間であるエミーであっても同様だった。ぐいっと押しのける。  酷くない? と泣きまねをするエミーを放置してベッドに座り、子どもの全体像を改めて確認する。 「ああほら、背けないで。顔を上げてくださいねえ」  子どもの両足を無理矢理開きながら優しい声をかけるロイズは、いつも以上に笑顔が深かった。歪んだ欲を持つ男たちの生贄にされている子羊はびくりと震えたが、頑として顔をシーツに背けたままロイズを見ようとはしない。 「困りましたねえ、顔を見ながらしたいんですけど」  エミーに片足を押さえつけさせ、赤が散った割れ目にロイズは指を軽く埋め込んだ。にちゃ、と湿った音を立ててそこが割り割かれ、「ひぅッ……」と小さく叫んだ子どもは尚も現実から目を背けるためか横を向いている。  そんなことをしてもこの状況だ。逃げることなど不可能だろうに。

ともだちにシェアしよう!