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第6話

あの日の翌日、俺は結局学校を休んだ。 何かの間違いだと思いたかったが あの日を境に、父さんは二人でいる時は俺を求めるようになった。 それがズルズルと続き、俺も拒めずに そして、今日に至る。 初めの頃はセックスも俺の負担にならないように挿入は何回かに一回程度で、体位も普通だった。 だが最近ではどうだ。 セックスする時は毎回挿入するし、一晩での回数も増えた。 体位だって、毎回違う。 それは父さんの機嫌次第で決まる。 機嫌がいい時は優しく抱かれるけれど、機嫌が悪い時は最悪だ。 めちゃくちゃに抱かれるし、殴られることもある。 抱かれるなら、優しくされたい。 なんて、乙女なことを思ってみる。 間違った関係だというのに、おかしなことだ。 けど、仕方ないだろう。 俺は父さんのことを愛してしまっているんだから。 好きだから、優しくされたいし、拒むことが出来ない。 痛いのは、嫌だけど。 それでも、殴ったり乱暴にした後は必ず 「ごめん、ごめんな、あや」 そう言って優しく抱きしめてくれる。 それが、愛されているんだと感じられて 俺は抜け出せずにいる。 父さんは俺を抱いている時だけは本当の恋人みたいに扱ってくれる。 「好きだよ」 「愛してる」 「可愛い」 抱いた次の日にはもう親の顔で、何でもないような顔で接してくる。 それでも。 そんな言葉だけで満たされてしまう俺は、もしかしたら父さん以上に狂っているのかもしれない。 どんなに酷く抱かれても この関係が間違っていても 俺は父さんを 甲斐 慧人(かい けいと)という男を愛している。 父さんは一言で言うなら完璧超人だ。 母を亡くしてから今まで俺を育ててくれた。 優しくて、見た目も良くて、多分頭も良い。 ひとりで何でも出来てしまう。 仕事でも何でもそつなくこなしてしまうんだろう。 でも、だからこそ 会社で何かあった時、酷く機嫌を損ねてしまう。 きっとそのストレスの捌け口が俺になっているんだ。 機嫌が悪い時の父さんは手の付けようがない。 俺が何か口答えしようものなら 更に機嫌が悪くなってしまって、どんな風に抱かれるか分かったもんじゃない。 いつだったか急に迫られて拒んた時は、手を縛られたっけ。 散々手酷く抱かれて、泣いたことを覚えている。 そんな男を、しかも実父を好きになってしまうなんて、俺はやっぱり狂っている。

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