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5日目
皇子に奴隷を触れさせないようにするのは良い考えだった。
好きな男を取り上げられた。
身体の快楽だけは教え込まれ、好きな男のモノだけはその身体き咥え込むことを許されず、抱きしめられたり、指に触れるだけのかすかな接触さえもとりあげられた皇子は、苦しくてたまらない。
だから、代わりに男を求めた。
それに、もう心を決めた皇子は強い。
恥知らずに男を欲しがり、自分から咥えてきた。
愛しい男の目の前で、他の男の性器を咥え、自分で穴をほぐしていく。
美味しい美味しい
そう言って舐めて絞りとり、喉を鳴らして飲んだ
そして解した穴を指て広げてほしがった
挿れてぇ
ここにチンポ挿れてぇ
そう叫んで尻を振る。
あの。
男の前で怒り狂った誇り高い皇子の姿はそこにはない。
いや。
目の奥にある。
確かに欲しくて欲しくてたまらなくて、淫らになった身体だ。
欲しい男の代わりならなんでも良いと思っているのも
間違いない。
でも。
でも。
淫らさ以上の狂気がそこにある。
皇子は喰らうつもりだ。
この中に入る性器を、自分を犯す男も快楽も。
そして、食い尽くして支配して。
そして、全てに復讐して好きな男を好きなだけ味わうのだ。
知ってるからだ。
好きな男の性器は、きっともっと甘く切なく激しく自分を犯してくれる、と。
「頂戴、頂戴、チンポ頂戴!!」
叫んで、首にすがつき、淫らに尻を振るのも、舌を欲しがり、与えてやらば吸って噛んで夢中で味わうのも。
全部。
全部。
この皇子なりの新しい戦い方なのだ。
男は感動すらした。
汚れ乱れきってまで、この皇子は辿り着こうとしているのだ。
生き残って、その身体一つで。
その覚悟を味わった。
熱くて激しくて、甘い穴。
帝は思う。
絶対にこの皇子を抱きたいと。
そして抱き、この穴に狂う。
そこからだ。
皇子の目的は。
何の表情すら浮かべず、それを黙って見つめる奴隷。
「いい穴だ。可愛いぜ。欲しがって締め付けてくる」
挑発してみた。
繋がっているところを見せつけて、尖った乳首を摘まんで泣かせてみせた。
でも、奴隷は奴隷らしく振る舞う。
顔色一つ変えず。
奴隷だから、側にいられたのだ。
奴隷は物。
忠誠などない、所有物。
だから、皇子と捕まっても引き離されなかったのだ。
だから、奴隷のままでいろ。
皇子の側にいるために。
でも。
皇子は叫ぶだろう。
好きぃ
好きぃ
その好きをこの行為のことだと皇子を抱くものは思うだろう。
でも、違う。
皇子は欲しくてたまらない男のために、自分を抱けない男のためだけにそれを叫んで狂うのだ。
奴隷は顔色一つ変えずにそれを聴く。
いつか深く貫く日を思っていたとしても顔には出さない。
完璧だ。
完璧だ。
皇子は、男の足の指を舐めながら、精液が零れる穴を弄って自分で果ててみせたのだ。
皇子の喉を犯して放つ。
男は自分の仕事に満足した。
淫らな肉が出来上がった。
きっと、見たものは狂う。
終わった後、奴隷は、淡々と皇子の身体の始末をした。
恋焦がれる身体ではないかのように。
男は満足した。
でも。
でも。
足りない。
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