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第7話
「うっ、ここは……」
ライルは再び、目を覚ますと、黒っぽい深みのある石でできた空間にいた。
先程、通ってきた光も何もない長い長い廊下とは違い、辺りには篝火が並び、スグルが使えるダンジョンを照らすリグウトの魔術やランタンは要らない。
ただ、どこか禍々しささえ帯び焚かれる篝火には暖かさはなく、何故か、ぞわりと寒気を感じさせる。
「成程、1階から地下1階に落ちたんだな。仕方ない。この火を頼りに上の階に上がる方法を見つけないと」
ライルは剣技に優れているが、もはや剣士ではなく、ハンターだ。それ故に火打ち石や松脂を浸した布等、光源となる道具も持っているのだが、この先も同じように篝火があるとは限らない。
「それにしても、不気味な火だ。すぐにでも消して、松明を使いたいが、この先のことを考えるとな……」
実はこうして、ダンジョン内でバラバラにはぐれてしまった時に備えて、スグルに身体をひん剥かれてまで魔力耐性を補う魔術を施されたのだ。
だが、施された魔術は時間が経てば失われるし精液だけでなく、汗等、体液を分泌してしまえば、効力は切れていく。絶対ではない為、早めの合流は急務だった。
そんな時、ライルの耳にはぴちゃりとした水音が聞こえてくる。
「ん?」
ライルは気のせいかと思い、音のした方を振り返る。
「うあああああ!!!!」
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