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第8話
「うっ、ここは……」
スグルが再び、目を覚ますと、白っぽく淡く光る石でできた空間にいた。
先程、通ってきた光も何もない長い長い廊下とは違い、石そのものが光っていることもあり、ダンジョンを照らすリグウトの魔術は要らない。
ただ、それ以前に魔術が殆ど使えないくらい身体が疲労しているのが分かる。
「成程、ここは剣士向けの入口から入って来られる場所か。仕方ない。ライルには劣るが、剣に切り替えるか」
スグルは魔術士ではあるが、片手剣やナイフも扱える。しかも、駆け出しの冒険者よりは遙かに巧みにそれらを操ることもできた。
「急いで、魔術士向け入口の地下辺りのライルと合流しないと……」
実はこうして、ダンジョン内でバラバラにはぐれてしまった時に備えて、ライルの身体をひん剥いてまで魔力耐性を補う魔術を施したのだ。
だが、施した魔術は時間が経てば失われるし、ライルが汗等、体液を分泌してしまえば、効力は切れていく。絶対ではない為、早めの合流は急務だった。
そんな時、スグルの耳には聞き覚えのある嬌声が聞こえてくる。
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