「ハァ、はあ、ハぁ……その、こえは、クィ、ル、クィルさ……ん？」 　クィルの目には布が死角になって、スグルの表情は窺い知れないが、戸惑っているのだろう。 　無理もないことだ。 　スリメの塔から生還したとは言え、ほぼ行き倒れのような形で倒れ込んだと思っていたら、見覚えのない天井が見える。スグルの目には布が死角になって、見えないが、下半身は自分の意思とは関係なく割り開かれ、外気に晒されているようだ。 　しかも、今まで感じたことない違和感と痛みが股間の辺りを襲う。 　只事ではなかった。 「君はライル君とスリメの塔を攻略したものの、失敗したんです。しかも、スリメの毒に冒されて、無様にね」 　クィルはわざとスグルにダメージを与えるような言葉選びをしながら、スグルの陰茎にガラス製の棒を再び僅かに角度を変えて、奥へと差し込ませる。 「うぅっ……」 「痛むのなら麻酔をすることもできますが、どうしますか？　あと、治療とは言え、あらゆる体液を何回も出して毒の反応があるかを調べるものになります。強制的に搾り取ったり、性感帯を責めたり、痛みだけでなく、シラフだと恥ずかしいかも知れないですが……」 　クィルの手はスグルの陰茎に差し込ませた棒を少しだけ動かすのを止める。その間にも棒と尿道の隙間を縫うように、スグルの亀頭から透明な液体が淫らに溢れ出る。 　クィルはスグルの言葉を待つが、暫く経っても、スグルは何も言わない為、一応、麻酔の用意や陰嚢を縛る為の紐を用意する。 「く、クィルさん」 「どうしますか？　私としてはどちらでも構わないですが……」 「ま、ますいは、なくていいです。ぶざまな、いまの、じょうたいを、ねむって、なかったこと、に、したくな……い。それ、より、あいつが……ライル、がぁ……」 「……」 　息も絶え絶えながらにスグルはライルの心配をする。 　スグルは自信家だが、自らの失態はなかったことにしないで受け止める。自身が大変な時にも双子の兄であるライルのことを大切にする。 　こういうところがクィルは好ましく思っていた。　 「分かりました。では、辛くなったら、いつでも言ってください」 「は、い……わかり、ました」 「あと、ライル君は大丈夫です。先程、ライル君の体液を調べましたが、幸い、貴方よりは毒性は強くなかったし、貴方は嫌がるでしょうけど、フィル兄さんに頼んであります」