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第17話 (9月) (2) ※微R18

BGMの音楽に耳を傾けながら、都会の夜景を眺める…。 「…これ翔くんのバンド?」 「そう。 よく分かったな…。」 話題に上がったのはドイツへ移住した凪の先輩、翔の新しいバンドの曲で… 重低音の響くロックナンバーはなかなかカッコ良かった。 「この前ネットでちょっと聴いたんだよ。 カッコいいね。 凪くん、音源買ったの?」 「…DLだけど、買いました。気になっちゃって…(苦笑)」 そんな凪の台詞にふふ…と笑った紅葉は祖国と家族、翔を思いながらドライブを楽しんだ。 スタジオに着く頃には紅葉の機嫌も直り、凪がもう一度キスを促すと素直に応えてくれた。 「ん……っ!は、…っ! ぁ…っ、ちょ…っ!」 舌を絡められて、深く、長くなる口付けに身を捩る紅葉。 地下の駐車場で暗いが、誰かに見られたらと…ヒヤヒヤしているようだ。 「…続きはあとでね?」 「…っ!」 赤面しながらも凪の後を追った。 「あ! 紅葉くんー! 一緒に来たの? 珍しいー!」 LiT Jのムードメーカー、ボーカルのAoiが凪の後ろを歩く紅葉を見ると手を振ってくれた。 「お疲れ様ですっ! 見学に来ました。」 「へぇー!あ、せっかくだから紅葉くんもゲストで出ちゃう?(笑)」 ギターのゆーじも笑顔で誘ってくれた。 「えぇっ?!」 「いきなりすぎでしょー? ほら、いーから…! 打ち合わせしちゃおうよ。 紅葉はそっち座ってて?」 下ネタの多いLiT Jの番組は紅葉には無理だと凪は判断して、メンバーを諭して打ち合わせを始めた。 凪はすっかりこちらのバンドにも溶け込んで、今では様々な意見が言えるようになってきていた。 「…はぁい。 凪くん、お仕事頑張ってねっ!」 紅葉はカメラに映らないよう、スタッフに挨拶をしてからみんなの邪魔にならないよう端で見学させてもらうことに。 LIVE後だというのにLiT Jのメンバーは疲れも見せずにハイテンションで生放送は進んでいく。 「今日のLIVEも完璧だったよな!」 「いや、AoiはMC噛みまくってたってー!(笑)」 サスケにそう言われて反論していくAoiに皆で笑い合う。 リアルタイムで視聴者のコメントに反応したり、質問にも答えていき、今日も盛り上がっているようだ。 司会進行はAoi… 「えっと、じゃあ次の質問いきまーす! 好きな人、恋人のために一番努力したことはなんですか?だって。」 「えー、何だろう? スゲー高いバッグ買ってあげたとか?(笑)」 「おっ!サスケさんは経済力的な努力? で、その後どーなった?」 仲の良いゆーじが聞くと… 「まぁ…頃合いをみて……逃げられたよね…(苦笑)」 爆笑するメンバーたち 「俺はね、体力的な努力? 夜、頑張ったかなー(笑)」 Aoiの下ネタにリーダーのマツが呆れ顔で聞いている。 「…もうちょっとピュアなのないの?(苦笑)」 「ピュアって…っ!!(笑) あ!あった! とりあえず一人に絞ったよ!」 「お前…もう黙って?(苦笑) 凪は?」 「え、何だろう? 俺は別に…。 まず、自分で努力するのが苦じゃないからなぁ。」 「…出た! これが出来る男の発言ですよ!」 「いやいや、本当に…(苦笑) 強いて言うなら…煙草…禁煙かな?」 「そういえば昔は吸ってたよねー?」 マツに言われて頷く凪。 紅葉と付き合うようになって禁煙したのでもう止めて3年になる。 「禁煙かぁ! 吸う人なら分かるだろうけど、けっこう大変だよね。」 ヘビースモーカーのゆーじはLIVE後の一服と情事の後の一服、どちらが至福かをサスケと言い争っている。 「やっぱスゴいな、凪はっ! 俺も禁煙は無理かなー。 口寂しくて食べるの増えるし…!」 マツがそう言うと、凪は続けた。 「結果的に禁煙は自分的にも演奏する時に息切れしなくなったりとかメリットあったし、良かったけどね。 あと口寂しいって理由でキス出来るし(笑)」 「あ、そーいえば俺さっき見たよ? 熱烈チュー!」 「っ! ちょっと!(苦笑) え、マジでっ?! あ、ゆーじくん! それ以上はストップで…!」 ブースの隣で聞いていた紅葉は集まる視線に思わずしゃがみこんだ。 熱くなる顔をパタパタと両手で扇いでそろそろと立ち上がる。 トークはどんどん濃くなっていっていた。 「俺野外は無理。」 凪は真剣な眼差しで告げた。 何の話?と紅葉は首を傾げる。 「車は? OKなの?」 「いや、NGだね。」 「さっきしてたんでしょー?」 「(笑)キスだけだって…っ! …あー!もうっ! 何を白状させられてるんだよー(苦笑)」 「ウケる! 俺は美人相手ならどこでも、何でもいーよ。」 「お前早いらしいもんな(笑)」 「ちょっとーっ! まぁ……すぐ終わるよ?(笑)」 話について行けなくて、飲み物を買いに廊下へ出る紅葉。出演しなくて良かったとホッとしていた。 ちょうど珊瑚から電話が入り、話しているうちに生放送は終わったようだ。 帰り道… 「恥ずかしかった…っ! もう車でチューは禁止だよ?」 「それは困る…。 眠くなった時とか…目ぇ覚めるのにな。」 「じゃあ…そういう時だけね?」 「んー…。 ふぁ…っ!あー、喋り疲れたなぁー…。」 「……。チュ…!」 凪が眠いアピールをして紅葉に視線を向けると… 左手の甲にキスをしてくれた。 「ふっ…。 …分かった。 じゃあ家着いてからってことで…。」

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