26 / 212

第24話 (11月) (3) ※微R18

「香水臭い……。」 多分ホステスのものが移ったのだろう、自分の服をくんくんと嗅ぎながら凪はバスルームへと直行した。 LIVE後の疲れといろいろな疲労が重なり、凪は思わず溜め息をついた。 「紅葉ー? 一緒に入るー?」 凪の問い掛けに紅葉はダッシュでバスルームへ向かい。服を脱ぐ彼の背中に抱き着いた。 「わっ! 何? どーした? …脱げないんだけど?(苦笑)」 なんとか向き合って紅葉の顔を覗けば、大きな瞳がうるうるとしていて、ギョッとする凪。 「えっ?! 何っ?! Aoiと言い合ったの気にしてんの? あいつワガママだから…いつものことだよ。 もういい年だし、いい加減落ち着けって感じだけどな…。」 「違うの…!」 「ん?」 「………凪くん取られちゃうかと思った…っ!」 凪の胸に顔を埋めた紅葉は小さな声でそう伝えた。 凪は恋人の可愛い焼きもちに頬を緩ませながら、紅葉をギュッと抱き締めた。 「…バカ。 俺、別に余所見してなかっただろ?」 「でもー! みんなキラキラしてて…、キレイな人ばっかりだった!」 「そう? みんな化粧濃くて…香水もキツいし…。 素っぴんは別人レベルかもよ?(笑)」 「…嘘ー? え、みんなそうなの??」 「さぁ?(笑) でも俺、素材を見抜く目は持ってるからさー。」 「…そっか!」 素材とは魚や野菜のことなのだが、紅葉は単純に納得したようだ。 「俺には巻髪でメイクもネイルもバッチリ、ドレスとヒールで着飾った女の子たちより… 寝癖直そうと前髪ピンで止めたまま忘れてて、友達のために夜中にキャバクラに乗り込んで、先輩に楯突いちゃう、トレーナーとジーパン、スニーカーの似合う可愛い恋人の方がキレイに見えるんだよ。 不思議なことにね?」 「っ!! ピンーっ!」 凪に言われて思い出した紅葉はカラフルなミニピンが付いたままの前髪を手で押さえた。 「…そこ?(笑)」 「もー! 言ってよー!」 「それも可愛いから大丈夫(笑)」 凪は笑いながら紅葉にキスを落とした。 「ふふ…っ!」 すっかり復活した紅葉は背伸びをして彼の首に手を回すと、もう一度キスをねだった。 「紅葉くーん! 風呂で寝ないで?(苦笑)」 ラブラブになるかと思ったが、深夜を回り、紅葉の眠気が限界だったようで… 湯船に浸かりながら眠ってしまった恋人の世話を焼く凪だった。

ともだちにシェアしよう!