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第31話(12月②) (2)※微R18

紅葉と珊瑚の弟(と言っても養子であるアビーと紅葉たちは誕生日は半年程しか変わらない) アビーは日本語を教える先生になるために勉強中で、今回は冬休みを利用し、日本文化を学ぶためにバイト代を貯めての初来日。 因みに彼が留守の間、実家のフォローは珊瑚と恋人で凪の先輩でもある元LiT Jのドラム翔が担ってくれている。 「みんな遊びに来たがってたけど、さすがに…(苦笑)」 「そうだよな。」 「まだみんなには内緒だけど…、ほら、みなちゃんの赤ちゃんも生まれるし、夏休みにはみんなを日本に呼べたらいいねって凪くんと話してるんだよ。」 多忙を理由にドイツにはしばらく行けそうにないので、その代わり今度はみんなを日本に呼ぼうと2人は協力して貯金をしている。 「Wow! それはスゴい! みんな飛行機に乗りたがってたし、日本大好きだから絶対喜ぶよ!」 アビーは興奮気味にそう話してくれた。 彼を始め、紅葉の弟妹たちはどんどん日本語が上達している。日本文化にも興味津々だそうだ。 「みんな変わりない?」 ドイツの家族とはビデオ通話でよく話すが、紅葉は改めてアビーに聞いた。 「うん。 あー、でも最近レニとお婆ちゃんがよく喧嘩してるよ。レニも冬休みだから下宿先から家に戻ってるんだけど、家事の手伝いちゃんとやって、おばさんの家でもやるようにって毎回言われるのがストレスみたい。 お婆ちゃんにキライってよく言ってる…。」 「そっかー! 難しい年頃だし、友達と自分を比べたり…、うん、言われるとつい反抗しちゃうってのがあるんだろうね。…でもレニ優しい子だから、そのうち落ち着くよー。」 「みなちゃんに相談したら女の子はみんなそんなものらしいよって。 "この子(お腹の赤ちゃん)もそのうちキライとか言うんだろうね。"って言い出して…! えっと、光輝兄さんが泣いてた。 …大丈夫かな?(苦笑)」 「……。 重症だな。」 凪はバンドメンバーとしても友人としても光輝が心配になってきた。 「みなちゃんも多分わざとやってる…(苦笑)」 「みなちゃんも大変だよね。 家事禁止なんだって。まだそんなにお腹目立ってないけど、靴下もブーツも兄さんが履かせて脱がしてたよ。」 「…そんな気はしてたけど、相当だな(苦笑)」 2日間東京で過ごしてから、3人で凪の実家がある京都へ向かう。 「俺、家の手伝いあるから行けないけど、紅葉と観光行っておいで。土産になりそうな物があったらこれで買って来な?」 凪はそう言ってお金の入った封筒をアビーに渡す。 「え…?! いいの? …ありがとう、凪兄さん。」 「凪くん、僕だけ遊んでてごめん…。 後でお手伝いするね…。」 「お前は引率だろ? あ、夜は芝居だっけ? …母さんの相手もよろしくな。 俺のことは気にしなくていいから、久々に兄弟で楽しんでこい。 紅葉、変なやつに着いて行くなよ。 買い食いはほどほどに。迷子になるなよー。」 「はぁい。」 「行ってきます。」 夜… 「お疲れ様…!」 「おー、紅葉もお疲れ。 さっき裏で会ったけど、母さんだいぶはしゃいでたな(苦笑) 若い男の子2人(しかも美形の外国人)連れての外出が相当嬉しかったらしい…。 楽しかったか?」 「うん! でも年末だから? 人が多かったよー。 凪くんも忙しかった?」 「それなりに…。」 苦笑しながらそう答える凪の顔には疲労の色が出ていた。 老舗旅館の年末、厨房は戦場だ。 「ビール飲む?」 「飲む。 アビーは?」 「お風呂。 義くんと大浴場に行ったよ。 僕はシャワーで我慢した。…エライ?」 「ん、イイコ。 後で…か、明日…貸し切り入ろ。」 アビーが家に来てから、いつも一緒のお風呂も別々、もちろん夜もフツーに眠るだけだっのだ。(紅葉が恥ずかしがったから) 紅葉にビールを注いでもらう凪…。 そのまま見つめられて、凪はビールを指差した。 「ん? お前も飲む?」 「ううん、大丈夫。 あのね…! 楽しかったけど、凪くんがいなくて寂しかった…っ!」 「ふ…っ! 離れてたの半日くらいだけどな…(苦笑)」 「でも一回寂しいなって感じたらずっと気になって…!ね、早くお部屋行こ?」 「アビーたちと飲まなくていーの?」 「お家でも飲んだし、たくさん話しも出来たよ。 明日でもいーじゃん! 今日は疲れたからって連絡しとく…。 あ、平ちゃんたちはお義父さんの部屋で寝てるよ。 …ね、早く行こ?」 「分かったって…!(苦笑)」 紅葉に腕を引っ張られる凪はグラスのビールを飲み干すと席を立った。 その後、2人のためにリフォームされた部屋へ移動するとずっと凪にべったりな紅葉。 アビーとの観光の話や、芝居の感想も教えてくれて、スマホで撮った写真を2人で見ているのだが、その間に幾度となく繰り返されるキスは次第に深く…長く、…そして激しくなっていく…。 「ん…っ! ぁ…ッ!んー…」 「ちょっと…、あー、シャワーだけ浴びてきていい?」 紅葉は先に済ませたようで既に部屋着だったが、凪は厨房仕事で汗をかき、油や食べ物の匂いがついているからと熱をもった瞳で見つめてくる恋人をなんとか説得した。 ダイニングで楽しそうに風呂上がりのビールを飲む義弟の義と紅葉の弟のアビーと軽く話し、とりあえず紅葉はもう寝たと告げておく。 凪はシャワーを浴びると足早に部屋へ戻った。

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